洋菓子店リモージュ(宮城県亘理町)変わらぬ味、届け続ける、横浜国立大学3年 久保田玲海

 お小遣いを握りしめ「コレください」とお気に入りのケーキを買う小学生。帰省する我が子のために「息子、これしか食べなくって」といつものケーキを買っていくお母さん。宮城県亘理町の洋菓子店「リモージュ」は13年間、地域のお客さんに支えられてきた。

 こだわりは「安い、美味しい、可愛い」ケーキを作ること。ショーケースには亘理町のいちごを使ったショートケーキをはじめ、抹茶のケーキやチョコケーキなど21種類のケーキが並ぶ。どれも300円前後と手頃な価格だ。

 店主の村上親義(ちかよし)さんは今夏70歳を迎えたが、年齢を感じさせないパワフルさで毎日200個以上のケーキを一人で仕上げる。「美味しい」というお客さんの声と笑顔が原動力だ。

 東日本大震災で津波の被害を受け、海岸から約2.5キロメートルに位置する店は、1メートルほど浸水。壁は泥水で汚れ、冷蔵庫やオーブンは使い物にならなかった。このまま同じ場所で続けていくか迷っていた時、背中を押してくれたのは「またここでケーキ屋やってよ」という地域の人の声だった。

 3ヵ月後には同じ場所で店を再開した。「亘理町で家や家族を亡くした人を少しでも勇気づけたい」。最初に作ったいちごのショートケーキを100個、避難所に運んだ。

 疲れた顔をした人々に笑顔が戻った。「ケーキは食べた人の心を和やかにする」ことを改めて感じた。

 リモージュは地域の人々に喜びを届けてきた。「お宅のケーキ、どこさ持ってっても恥ずがしぐねえ」。地域の人にとって自慢の店になっている。

 これからも変わらぬ美味しさを提供し「リモージュのケーキが食べたい」と言ってもらい続けることが目標だ。ふわっふわのスポンジと甘すぎずさらっとしたくちどけの生クリーム。口いっぱいに幸せの味が広がり、自然と笑みがこぼれる。

 今日もリモージュは地域の人を笑顔にする。



一つ一つ丁寧にケーキを作る村上さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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