福祉介護施設ティー・シー・エム 利用者の幸せ、介護のやりがい 立命大3年生 上田惟嵩


 介護福祉士をはじめ6つの研修を「いのちの学園」は提供している。「もともと復興や絆、そういう重い言葉じゃなくて、気分を軽くするため」と福祉介護施設ティー・シー・エ社長、金田憲子さん(66)はこう語る。その後、「いのちの尊さ」を学ぶ講演会や社内研修をするようなり、2016年から現在の研修プログラムを始めた。

介護業界は人材の問題に頭を抱える。人手不足に加え、3年未満の離職率も高い。「きつい・きたない・稼げない」の頭文字をとって3Kと呼ばれる。

「ありがたいことに、みんな長くやってくれる」とはにかみながら、金田さんは手ごたえを口にする。働いている職員は20~70代。長く働く人が多いので、それだけ年齢層も広がる。職員の離職率も低く、4分の3が常勤勤務だ。

 「いのちの学園」で介護と真剣に向き合える人材を自前で養成する取り組みは、他の介護施設との違う点だ。

研修ではティー・シー・エムの社是「すべてのいのちを大切に」をもとに「いのちの尊さ」を伝える。「介護は単なる作業ではない」と強調される。教科書やマニュアルだけで機械的に対応できないのが介護だ。10人いれば10人通りのマニュアルがある。利用者の幸せを試行錯誤することで介護のやりがいが根付く。

多くの人材が現場に出て行った。修了生は158人に上り、そのうち55人がティー・シー・エムで働く。3年前から派遣やハローワークに頼っていない。

「大変な仕事だけど、『ありがとう』の一言がこの仕事を続ける原動力になりますね」とほほ笑んだ。敬遠されがちな仕事だが、利用者の感謝や笑顔に直接かかわることができる。

きっかけは震災後のストレスを和らげるためだった。今では、心も技術も育てる「いのちの学園」は介護業界に新たな光を与えている。

立命大3年生 上田惟嵩

利用者の幸せを願う金田さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

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