ほや&純米酒場 まぼ屋 ホヤの魅力発信 京都女子大3年 前川葉瑚

 赤い壁が特徴的な洋風の店内は老若男女で賑わう。厨房の棚に吊り下げられたワイングラスで提供するのは、なんと日本酒。仙台駅近くの「ほや&純米酒場 まぼ屋」では「ほやフリット」や「ほやーニャカウダ」などホヤを使った創作料理を楽しめる。店の設立は今年7月20日、ホヤの旬である夏に合わせて開店した。

 「たくさん捨てられています。ホヤがかわいそう」。市内飲食チェーンの松野水緒さん(37)はまぼ屋の生みの親の一人だ。韓国は東京電力福島第1原発事故の影響を理由に、ホヤの輸入を規制した。行き場を失ったホヤは7600トンにも上る。丁寧に育てられた4年物のホヤが捨てられている。

 ホヤは独特な臭みから苦手な人が多い食材だが、五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)が感じられ、アミノ酸が含まれているためお酒にもよく合う。ここに可能性を感じた。お店では調理法を工夫し、苦手な人にも食べやすいメニューを提案している。料理はホヤ度で分類され、度合いが低いほど食べやすい。伝統的な調理法にもこだわりをもつ。一番のおすすめメニューは「ほやほやほや卵」ゆで卵をホヤで包んで煮付けた郷土料理で黄身が半熟、煮付け加減も絶妙だ。

 純米酒の取り扱いは25種、すべて東北のものだ。他にもワインやウィスキーを取り扱う。ホヤは甘い酒にも辛い酒にもよく合う。東北は日本酒文化があり、宮城は純米酒宣言もしている。純米酒の取り扱いが東北全体を応援することに繋がると考えた。

 お店でホヤを食べて好きになってくれた人が家庭でもホヤを楽しんでくれれば、とフェイスブックで家庭でも出来るホヤの調理法の公開に取り組みたいと考えている。

 旬が終わる秋からは、冷凍ホヤで料理を出す予定だ。ホヤのファンを増やせば「宮城の冷凍のホヤを食べきるのも夢ではないはず」と意気込む。


バーのような雰囲気の店で、オリジナル料理に込めた「ホヤ愛」を語る松野さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。