ほや&純米酒場 まぼ屋 創作料理で「ホヤ助け」 東北学院大3年 佐藤拓満

D班 東北学院大3年 佐藤拓満

「ほやのトマトパスタ」に「ほやカツレツ」、洋風な店内で、斬新なホヤ料理をふるまう。「世界初」をうたうホヤ専門店「ほや&純米酒場 まぼ屋」が7月、JR仙台駅近くにオープンした。「ホヤの常識を覆したい」。仙台市で飲食チェーンを手掛ける松野水緒さん(37)は語った。ホヤの風味の強さを5段階に分けた「ほや度」で、苦手な人でも料理が選べるよう工夫を凝らす。定番の「ほやの水刺し」から創作料理の「ほやピザ」、数々の料理で魅了する。揃える25種の東北の純米酒にもこだわりがあり、バーの雰囲気が漂う店内は、老若男女で賑わいを見せる。

 「ホヤを助けたい」という一心だった。東日本大震災前、宮城県産ホヤの約8割を輸入していた韓国が、福島第一原発事故の影響を理由に輸入を禁止。供給過多により、県産ホヤが大量廃棄されている現実を受け、今年6月に出店の決意を固める。「小さな力だとしても、私たちに出来ることをしたかった」。準備期間はわずか1か月。ホヤの旬に合わせた開業へ向けて、走り始めた。

 ホヤは独特の風味が強く、好みの差が分かれやすい。実は松野さん自身、ホヤは「苦手」。その立場を逆手にとって、多くの人が食べられるメニューの開発に力を注いだ。連日連夜ホヤをたたき、延ばし、ミンチやピューレ状にもして、「理科実験のようなレシピ開発」に取り組んだ。「完成したメニューは100品。一生懸命ものづくりに取り組む楽しさを感じた」と振り返る。お店では現在28品をメニューに載せている。今後はSNS上で、家庭で作れるホヤ料理を提案していくという。

 「ホヤの旬が終わる秋以降が正念場」。松野さんは力を込めた。開業を目指して奔走してきたが、勝負はまだこれから。オフシーズンは、冷凍のホヤを使って刺し身などを提供するほか、季節に合ったメニューの入れ替えも予定している。「店を長く続けることが、消費に繋がる。看板を掲げるだけでも意味がある」。ホヤ消費の火付け役となるために、新しい魅力を発信し続ける。


ホヤの魅力を語る松野さん。「ホヤ愛」を胸に、創作料理を手掛ける。


河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。