記者としての基本を学ぶ 上智大3年 松本日菜子

記者インターン2日目、本日のブログ担当は上智大3年の松本日菜子(まつもと・ひなこ)です。

住まいは東京・世田谷。東北には初めて来ました。

13日夕、仙台に向かう東北新幹線の車窓から外を眺めながら思いました。「今走っているレール、今通り過ぎた街、そしてこれから行く仙台の街やお世話になるゲストハウス…。全てあの震災を生き抜いた人の支えがあって、いまがあるんだよなあ」。震災を直接は経験していない自分がこの2週間で、少しでもこの被災地と新たなつながりが築けたらと願いました。

昨夜の交流会後、一部の学生は取材班でご飯を食べに行ったり、日本酒好きの菊地弘志デスクと「日本酒ツアー」を楽しんだりしたみたいです!1日目から、早くもみんな仲良し。日々の活動内容や学びを記す「日報」は、参加者14人が各々書いてメールで共有しますが、その通知音は夜中2時でも鳴り止みませんでした(笑)。


今日はインターン2日目。

10:00

初めにインターン事業を運営する防災・教育室の大泉大介記者から「取材&記事執筆入門」座学がありました。「書き上げた原稿は、掲載前に取材相手に見せるのかどうか」。報道のルールを大泉さんから問われ、学生は14人中2人が「見せる」、残り12人が「見せない」と答えました。私は、祖母がある新聞社の取材を受けた時の経験から、「見せる」に手をあげました。しかし、大泉さんが教えてくれた回答は「見せない」。取材相手に都合のいい情報だけを載せていては、新聞の役目は果たせません。検閲に当たるような事前の記事の公開は、新聞の存在意義を脅かしかねないと教わりました。確かに、取材相手に不利益な情報を掲載せざるを得ないようなケースを考えれば、「やっぱり取材相手には見せないよな、、」と痛感させられました。

12:00

インターン生にも昼が来た! 今日はみんなで初の河北新報の社食です! カレーの人、もやしラーメンの人・・・。みんな楽しく会話しながら食べていました!おいしかったです。

14:00

写真部の門田勲デスクから報道写真の心得を学びました。何にレンズを向け、どこに焦点をどこに当てるのかー。実際に河北新報のカメラマンが撮った写真を見せてもらいながら指導を受けました。被害の深刻さだけでなく、その奥にある被災者の悲しみまで写し込んだ数々に、思わず涙する学生もいました。「刹那を記録し、永遠の記憶を作り、伝える」。門田さんの言葉が胸に響きました。

16:00

模擬インタビューの時間です。ゲストは「TOMA DREAM SCHOOL」代表の色川冬馬さん。何をしている人なのか、これから何をしていきたいのか、実際にインタビューをして、明日朝までに記事にまとめます。まず大泉さんがインタビュー。学生はプロの記者の質問の仕方に耳を澄ませ、相槌の打ち方に目を見張り、話の要約の仕方に唸りました。

その後、学生も色川さんに質問します。今日の最初のプログラムの「取材&記事執筆入門」で学んだ「現在・過去・未来」の原稿構成の基本に沿って質問をする者、「すごい」や「楽しい」などの抽象的な色川さんの表現を、「例えばどのようなエピソードがありましたか?」と具体的に聞き出そうと工夫する者など、各自が今日の学びを即実践しようとする姿勢が印象的でした。

そして今日はなんと、昨年夏の14期に参加した東海大2年の猪股修平さんが激励に来てくれました!! お昼すぎに社食からインターン会場に帰ってくると、一人ひとりに名刺を渡しながら学生に話し掛けていて、その積極性に「さすが!」と言わざるを得ませんでした。先週まで沖縄の新聞社でインターンをしていたそうで、お土産にいただいた紅芋タルトは、学生みんなで仲良くいただきました。

明後日は名取市閖上(ゆりあげ)に行く予定です。初東北の私にとっては、初めての津波被災地でもあります。私たちが乗るバスを運転してくれる人もきっと、あの震災を生き抜いた人でしょう。現地を案内してくれる人も、体験を語り聴かせてくれる人もまた、震災を乗り越えた人です。

誰が欠けても、私の被災地訪問は成り立ちません。この日まで、多くの犠牲があり、悲しみがあり、復興の汗があることを心して、被災地の今に向き合います。

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。