細部

インターン生、佐々木哲哉@宮城大2年と、小野由加里@宮城学院女子大3年です。



インターン6日目、仙台市若林区荒浜でボランティア体験をしてきました。



内容は農地の再生。震災後間もなくから若林区で活動している復興支援団体「ReRoots(リルーツ)」さんにお世話になりました。



私たちが任されたのは、荒浜の兼業農家の農地で、草取りやガレキ撤去を担いました。



現地に立って最初に感じたのは、津波によって何もかも壊され、かつてどこに家が建っていて、どこに農地があったのか、その区別さえつかないぐらい壊滅的な被害の大きさでした。







農地を農地に戻す取り組みは草取りから始まります。



スコップを手に、硬くしまった土に歯をたて、草の根を掘り起こしては、一本一本抜いていきます。











そう言葉で言うのは簡単ですが、実際に行ってみると大変です。



スコップの刃先が、土の中のガレキにぶつかることもしばしばです。



大小の石、コンクリートとのブロック片、ガラス、プラスチック・・・。







その一つ一つも取り除いていかないと、畑を耕すのも困難な上、野菜が順調に育つのを妨げかねないのです。



実際に雑草、ガレキと格闘し、初めて気づいたことでした。



こうした作業を3時間あまり続けた結果、担った農地の一角は、ほとんどの草をとることができました。



しかし、インターン生22人と引率の河北新報の方2人の力を合わせても、きれいにできた面積は、バスケットボールコート一面ほどの広さ。







しかも、本当に農地として再利用できるようになるまでには、さらに細かな石までも残さず取り除く作業が欠かせないそうです。



「農業再生」を口で言うのは簡単ですが、東北沿岸に広がる津波被災農地の広大さを思うと、その道のりはあまりにも長く険しいのだと体感しました。



実際に汗して思ったのは、草取りの作業は単純作業で疲れるし、夏は暑さも加わって体力も奪われ大変です。



作業中、私たちは現実から少し逃げ出したい気持ちもあって、おしゃべりが絶えませんでした。そのことに対して、リルーツの広瀬剛代表から苦言をいただきました。



広瀬さんの指摘は「細部」の大切さ。



たとえ、広大な被災地の猫の額にも満たない、ほんのわずかな農地の復興作業であっても、そこに誠心誠意向き合う姿勢がなければ、震災復興をめぐる取材や記事執筆などできないのではないか─という内容だと受け止めました。



明日以降、普段の生活の一つ一つの事柄に真摯に取り組むことこそが、より良い取材、より良い記事につながると心して、自分を成長させていきたいと思います。
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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。