地域のつながりは知ることがはじまり 法政大4年 岡村仁

「つながりが命を救うのです」

と、仙台市太白区に事務所を構え、障がい者の支援に取り組む自立生活センターCILたすけっとの事務局次長菊池正明さんは力強く言った。東日本大震災時、障がい者を支援する視点から見えたつながりとは。



「障がい者のことまで考えられていなかったのでしょうね」。

3月11日あの時、たどり着いた避難所の段差にスロープがなく、建物の中に入ることさえ困難だった。避難所内は人があふれ、トイレは障がい者の利用を考慮しておらず、車イスでは用を足すことができなかった。結局二時間も避難所にいることができず、市内の事務所に戻った。

「障がい者にとって避難所はほとんど機能していなかったです」。



「まずは自分たちの存在を知ってもらうことが大切」と、たすけっと代表の及川智さんは言う。

3.11後、たすけっとではバリアフリーをテーマにしたパネル展示、地域の住民へ車イスの体験、仮設住宅での音楽祭開催などをした。「一人でも多くの人に知ってほしい」その思いが届くよう活動に力を入れている。

震災時、避難所に入ることができずに自宅に戻った障がい者や老人などは大勢いた。残った人たちの安否確認は周りの住人が災害弱者を地域で把握しているかどうかがカギだった。



 普段私たちは、どれほど周りの人を気にかけて生活しているだろう。朝、隣人にあいさつをする。そんな小さなことの積み重ねがまちのつながりを育む。



まちの住民ひとりひとりがお互いを知り、手をつなぐこと。見守ること。支え合うこと。それで救われた命があった。防災の意識高まっている今だからこそ、もう一度、立ち返ってまちの「ひと」を知る必要があるのではないか。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。