まちづくりの大切さ 東北工大3年 菅原夏希

またひとつ古い家がなくなった。

今年7月末に閉店した、仙台市青葉区広瀬町のあめ専門店「兵藤飴老舗」。

震災の影響で店舗が半壊し、128年の歴史に幕を閉じたのもその1つ。

木造2階建てで、瓦屋根に2羽の鳩があるのが特徴的だった。





兵藤飴老舗の写真。太白飴で有名だった。



失われつつある歴史的建造物の保存・再生を呼びかけている「まち遺産ネット仙台」代表の西大立目祥子さん(56)は言った。

仙台市では歴史的建造物の保全活動が成功したことが1度もないと。

「古い建物は価値がない」と見なされすぐ取り壊されてしまう。

鉄筋コンクリート造り、平家一部2階建てで国登録有形文化財だった荒巻配

水所旧管理事務所(青葉区国見)も2011年7月に解体された。



一方で、仙台市若林区にある化学薬品商社「マルキ」の古い土蔵の復旧工事。

築230年の土蔵で、雛祭りや茶話会、土壁塗り体験等様々な催しの会場として利用されていた。

震災で土蔵が壊れ、取り壊しも考えたが、補修費数百万円かけて修復した。

確かにお金がかかるといった問題が絡んでいる。



NPO団体「建築と子供たちネットワーク仙台」は、仙台市青葉区にある仙台の伝統工芸「提焼」の窯元・佐大商店に残る登り窯を、市民ボランティアと共に再建した。





上の写真より、壊れた土壁の破片を持っているのが渋谷セツ子さん。



空間を失うことは時を失うことでもあり、それは歴史的建造物を保全する動機につながる。

庶民が守り続けてきた伝統や文化は、2度と取り戻せない。

だから、もっと目を向けるべきなのだ。



古い建物とは、時間の経過した物の価値であり、その建物の近所の人のためのコミュニティーの場でもある。

しかし20、30年後に取り壊す予定だった建物が、震災の影響により前倒しになっている。

誰かが行動にうつさなければ、その間にも古い建物が壊されていく現実。



「皆がみんなではないが、仙台市民は「古い建物=取り壊し」と考える傾向がある。

後向きに捉えがちだが、これからの生活にまちづくり活動として活用出来るのではないか。」と西大立目さんは語る。





上の写真より、緑色のタオルを首から提げているのが西大立目祥子さん。       

仙台市がこれからどんな街になり、市民がどのように生きていきたいか。

市民にはもちろんだが、特に社会を担っていく若者に問われている。



仙台市の未来を思いえがき、みんなで街を作り上げていくことが大切だ。
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河北新報社 記者と駆けるインターン

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