心の想像力 東北芸術工大3年 小泉遥果
丸善仙台アエル店と、塩川書店五橋店に取材に行った。
執筆テーマは、「震災と街の本屋」。
東日本大震災直後、ライフラインが失われた中、本は大勢の人に求められたという。
あのとき、人は何に気付き、何を欲していたのか。
仙台市青葉区にある丸善仙台アエル店。
東日本大震災後、3月22日から営業を再開した。
建物の被害は少なく、早期再開ができた。
営業再開の事前広報ができなかったが、当日は多くの客が集まったという。
道を歩いていたら店に光がついていたから、いう人もいた。
震災当時、店長だった五十嵐裕二さん(64)は「本を売るということは、『手法』の違いだと思う。震災での痛ましい経験を、後世へ伝えていければ」。
丸善では、既に電子書籍も販売している。媒体に固定概念を持たず、人に情報を届ける−。
本も、その信念を長く担ってほしいと切に願う。
仙台市青葉区にある塩川書店五橋店。
震災の影響で新刊本が届かなかった当時、市民が他県で手に入れた週刊少年ジャンプを譲り受け「ジャンプ読めます」の張り紙をし、地域の子ども達が回し読みをした街の本屋だ。
「本そのものに値打ちがあるのではない。読書を通じ、考えたり思ったりする過程に価値がある。そうした体験が日常での経験と結びついて、成長につながれば、『生きる力』となる」。
店主・塩川祐一さん(49)は、人生の困難に直面したとき、読書体験が人の支えとなると、信じている。
緊迫した状況が続いていた震災当時、店頭で絵本を手にして笑顔を見せる子どもたち。
その姿を目の当たりにし「本屋としての自分の役割にあらためて気付かされた」と言う。
震災後まもなくして、東京に住む小学生の男の子から「みんなで読んで」と、1冊の漫画本が送られてきた。当時、塩川書店では届けることができなかった本だ。
読書に育まれた思いやりの心が、とても嬉しかった。
強く祈るように、塩川さんは言う「子どもの頃から、本を身近に感じてほしい」と。
だから、店にやってくる学生まで、自らの子どものように接する。
レジでの会話は欠かさない。
それが小さな本屋にできることだと、信じている。
「皆だれだって、産まれた時は子ども。成長とともに、本から得た想像力で人を思いやれるように育ってほしい」
おせっかいと言われようとも、「街の本屋」は、これからも子どもの成長に携わる活動をしたいと意欲的だ。
電気も点かず情報も途絶えた世界の中で、見ず知らずの人が互いに助け合う姿−。
震災の混乱の中、人が人を思う「心の想像力」を再認識させられた。
あれから約1年半、街は以前と変わらぬと生活を取り戻し始めている。あのとき誰しもが自然と感じた、人を思いやる気持ちが徐々に薄れつつあるのではないだろうか。
震災を経験した私たちがつくる街。あの頃、人それぞれ気がついたことがあるだろう。
あの「気付き」の何を学びとして生活していくのかも、私たち次第だ。
これから先も、心の想像力を広げて世界を見澄められればと願う。
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執筆テーマは、「震災と街の本屋」。
東日本大震災直後、ライフラインが失われた中、本は大勢の人に求められたという。
あのとき、人は何に気付き、何を欲していたのか。
仙台市青葉区にある丸善仙台アエル店。
東日本大震災後、3月22日から営業を再開した。
建物の被害は少なく、早期再開ができた。
営業再開の事前広報ができなかったが、当日は多くの客が集まったという。
道を歩いていたら店に光がついていたから、いう人もいた。
震災当時、店長だった五十嵐裕二さん(64)は「本を売るということは、『手法』の違いだと思う。震災での痛ましい経験を、後世へ伝えていければ」。
丸善では、既に電子書籍も販売している。媒体に固定概念を持たず、人に情報を届ける−。
本も、その信念を長く担ってほしいと切に願う。
仙台市青葉区にある塩川書店五橋店。
震災の影響で新刊本が届かなかった当時、市民が他県で手に入れた週刊少年ジャンプを譲り受け「ジャンプ読めます」の張り紙をし、地域の子ども達が回し読みをした街の本屋だ。
「本そのものに値打ちがあるのではない。読書を通じ、考えたり思ったりする過程に価値がある。そうした体験が日常での経験と結びついて、成長につながれば、『生きる力』となる」。
店主・塩川祐一さん(49)は、人生の困難に直面したとき、読書体験が人の支えとなると、信じている。
緊迫した状況が続いていた震災当時、店頭で絵本を手にして笑顔を見せる子どもたち。
その姿を目の当たりにし「本屋としての自分の役割にあらためて気付かされた」と言う。
震災後まもなくして、東京に住む小学生の男の子から「みんなで読んで」と、1冊の漫画本が送られてきた。当時、塩川書店では届けることができなかった本だ。
読書に育まれた思いやりの心が、とても嬉しかった。
強く祈るように、塩川さんは言う「子どもの頃から、本を身近に感じてほしい」と。
だから、店にやってくる学生まで、自らの子どものように接する。
レジでの会話は欠かさない。
それが小さな本屋にできることだと、信じている。
「皆だれだって、産まれた時は子ども。成長とともに、本から得た想像力で人を思いやれるように育ってほしい」
おせっかいと言われようとも、「街の本屋」は、これからも子どもの成長に携わる活動をしたいと意欲的だ。
電気も点かず情報も途絶えた世界の中で、見ず知らずの人が互いに助け合う姿−。
震災の混乱の中、人が人を思う「心の想像力」を再認識させられた。
あれから約1年半、街は以前と変わらぬと生活を取り戻し始めている。あのとき誰しもが自然と感じた、人を思いやる気持ちが徐々に薄れつつあるのではないだろうか。
震災を経験した私たちがつくる街。あの頃、人それぞれ気がついたことがあるだろう。
あの「気付き」の何を学びとして生活していくのかも、私たち次第だ。
これから先も、心の想像力を広げて世界を見澄められればと願う。
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