夕刊掲載③ 私の街には障がい者がいる

宮城大2年 佐々木哲哉

宮城学院女子大3年 小野由加里

法政大4年 岡村仁

東北大4年 斎藤瑠奈







 「同じ被災者なのに、障がい者にとって避難所は救いの場ではありませんでした」



 仙台市太白区長町1丁目に事務所を構える障がい者支援団体「CILたすけっと」の事務局次長、菊池正明さんは、東日本大震災での苦い体験を思い起こす。



 「地震があった日、一夜を過ごそうと駆け込んだ近所の小学校体育館に、われわれは2時間しかいられなかったんです」



 まずは入り口。段差にスロープがなく、車いすで入るのに一苦労した。やっと入った館内は、多くの避難者でごった返し、車いすでは身動きが取れない。トイレは車いすでの利用を考慮しておらず、用を足せない。もはや出ざるを得なかった。



 「このままではいけない」と、たすけっとは3・11後、自ら動いた。バリアフリーをテーマにしたパネル展示を行ったり、健常者に車いすを体験してもらったり、仮設住宅で音楽会を催したり。自分たちの姿をあえて多くの人に見せる取り組みを重ねている。



 菊池さんは訴える。「障がい者の存在に気づかないと、彼らの叫びさえ聞こえない」



 1995年の阪神淡路大震災以降、本格的議論が始まった災害と弱者。しかし、教訓が十分生かされないまま月日は流れた。私たちは、隣人であるはずの障がい者の存在に思いを巡らすことなく、3・11を迎えた。



 誰かの手助けを必要とする人のことを、心のどこかで気にかける—。そうした人々のつながりの先に、障がい者はもちろん誰もが住みやすい街、そして災害に強い街は築かれるに違いない。



【メモ】「CILたすけっと」は1995年設立。介助者を派遣し、障がい者の自立生活を支えている。震災後は全国から駆けつけた延べ1300人のボランティアとともに、仙台市内の全避難所、仮設住宅を回り、障がい者のニーズ把握と支援を実践した。





【写説】街を歩く「CILたすけっと」事務局次長の菊池さん(奥)と代表の及川智さん
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河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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