被災動物 東北学院大1年 梅村雅

 「人も我慢しているが、犬も我慢している」



 仙台市青葉区芋沢の、ペット関連サービス会社「ドックウッド」代表、我妻真紀さん(41)は力強く語る。



 ドックウッドは震災直後から、被災地の犬や猫を無償で預かってきた。これまで預かってきたのは、延べ455匹。未だ120匹以上が飼い主の下に帰ることができずにいる。そういったペットの里親探しも行う。犬、猫たちは1匹ずつゲージに入れ、犬と猫に分けてプレハブ小屋で管理されている。



 「実は、捨ててしまったんです」。震災後、我妻さんは利用者の女性にこう言われた。3月11日のあの日、津波が押し寄せ、愛犬を連れて命からがら逃げのび、避難所にたどり着いた。隣人の肩とぶつかってしまいそうなほど狭い空間で、大勢の人が先行きに不安を抱き、苛立っていたことだろう。そんな状況下で、女性はまわりの目や苦情に耐えられず、愛犬を捨てたという。やむを得ない判断だったのかもしれない。我妻さんの胸に迫るものがあった。「私が責任を持って、最後の一匹まで面倒をみよう」。



 はじめは、対応し切れないほど殺到したという里親の申し出。しかし、今はほとんどない。更に、支援金もどんどん減ってきている。「震災から一年以上が過ぎて、色々なものが薄れていく」。我妻さんは表情を曇らせる。



 預かった当初はガリガリに痩せ、怯えていたペットたち。避難所で、過度のストレスから人に噛みつき、追い出された犬もいた。しかし、連日ドックウッドに訪れるボランティアと触れ合うことで、閉ざした心を開きつつある。「この子たちも、新しい環境に慣れようと頑張っているんだ」。我妻さんは、一般社団法人「日本動物支援協会」を立ち上げ、今後もこの活動を続けていくことを決意した。



 東日本大震災。多くのものを失い、身も心も疲弊した。それは、被災者のみならず動物たちも同じなのではないだろうか。












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河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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