言葉の壁を越えた人々のつながり    宮城学院女子大2年 作間温子

 「コノニュースノ イミハ ナニ?」

ネット上の会員制交流サイト「フェイスブック」に日本語が分からない外国人が英語で問い掛けた。

 言葉の壁があるため、被災地の外国人は日本語の震災関連情報が理解できなかった。多くの在仙外国人がフェイスブックを使っていて、情報過疎の窮状克服に役立った。

 当時、メディアから発信される食糧配給などの情報や口コミなどを、日本語が得意な外国人が英語や母国語へと訳し、仲間の外国人に向けて情報を発信した。



 その中心にいたのが東北学院大4年のネパール人、ラミチャネ・アダルさん(24)だ。震災当時は2年生で、来仙4年目。震災直後、「仙台市災害多言語支援センター」に発足当初から加わった。センターは大規模災害時、仙台市が開設する機関。ラミチャネさんは、熱心に仙台市内の避難所を回った。言葉の面で外国人被災者のサポートに当たるのが任務だった。

 活動の中で、ラミチャネさんは外国人に必要な情報が不足していること、避難所を出ると情報過疎になってしまうことを肌で感じた。



「外国人にもっと確かな情報を」。震災から1カ月後、フェイスブックにグループ『インターナショナルズ イン 仙台』を作った。当初は、ラミチャネさんの知り合いを中心に、友達の輪を広げた。

 仙台に暮らす外国人はおよそ1万人。フェイスブックのグループ人数はおよそ80ヵ国、約200人。

 だが、グループ参加者からの情報は口コミやメールなどで広まり在仙外国人にたくさんの情報を届けた。



 ラミチャネさんはネット上だけでなく、実生活でも防災のために動いている。その一例が易しい日本語での防災マニュアル作り。

 今でも、フェイスブックグループの活動は続いており、自由なコミュニケーションの場となっている。



 「災害では何が起こるか分からない。だからこそ、日ごろから言葉や文化を超えて人とつながり続けたい」。そう語るラミチャネさんの目には、国を超えた絆、将来の防災都市が映っている。



今後の活動について話すラミチャネ・アダルさん(24)


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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