寝ないウサギ

 「カメの歩みではのんびり過ぎる。ウサギのように、途中で余裕をこいて寝過ごしては意味が無い。君たちはある意味、『寝ないウサギ』『きっちりペース配分できるウサギ』にならないといけない」



 インターン12日目。例え話の巧さから「比喩王子」の異名を持つデスク役の大泉さんの、そんな言葉から一日がスタートしました。



 迫りつつある締切日。残り時間をどう使うべきかを考える上で、示唆に富むメッセージでした。



 インターンも折り返し地点を過ぎ、残りは実質一週間です。この間に仕上げるべき原稿は、各自3本。今日はこのうち、最優先の課題である夕刊に載せる記事を書き上げることを目指して、2グループがぞれぞれ取材や記事執筆に励みました。



 僕たちのグループは、これまでの取材に基づき、メンバー1人1人が記事を書き上げて持ち寄りました。



 取材したのは、ネット上に「SATORIBA(サトリバ)」という恋愛相談サービスを立ち上げた東北大学生と、仙台の自動車学校。

 IT系の学生ベンチャーは、ネットの力を借りて、リアルなコミュニケーションを豊かにしていこうとしており、その志も書き込もうと思います。

 自動車学校に着目したのは、名物鬼教官の素顔に迫りたかったから。取材は難航しましたが、何とか骨格が出来上がってきました。





【寝ているわけではありません。必死に原稿を書くメンバー】



 取材で聞いた話の中の、どの事象に光を当てて伝えるか—。頭をフル回転させて、構成を考え、最もフィットする表現、言葉をひねり出していきます。



 これまでの経験で、皆の思考レベルが着実に上がっていると感じます。「自分が何を伝えたいか」をしっかり見据えた原稿が出そろいました。





【記事を読み合わせ、議論を重ねます】



 同じ話を聞いても、1人1人のとらえる視点は違います。それをグループの原稿として1本にまとめるのは至難の業です。



 「ここは伝えたい!」という事柄は大方みんなに共通しても、ぴったり同じではないからです。どうしたら一つの表現に昇華できるか。ここは手を抜かず、緻密に詰めていくことが大切なのだと感じます。



 記事の骨格ができてくると、足りない部分も見えてきます。

「取材の時に、ここを聞いておけばよかった…」とへこむことも少なくありません。



 それをどう補うか、そのための準備をどう進めるか、ゴールを見据えて計画していかなければならないことを、いま気づかされています。



 インターンも佳境を迎え、自分達から動かなければ、ものごとが前に進まないことを痛感しています。複数のテーマの記事執筆を、1日の中で同時進行させるのは、集中力を保つのも難しく、とても大変です。



 それでも、素敵な話を聞かせてくれた方々の想いをきちんと読者に届けるためには、ノロノロの歩みも、惰眠を貪ることも許されません。



 僕らは、カメの着実さとウサギのスピード感を併せ持って走り続け、読者の心に響く記事を書き上げます。

(下澤大祐@東北大)


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。