G班原稿 「地元と歩む 新かまぼこ」

日本大4年大内裕斗、東北大3年木部翔、同志社大3年長谷美幸


 


ふわっとした揚げかまぼこに、プリッとした歯ごたえの枝豆。


魚肉のほどよい塩気の中で、ニンジンやキャベツ、豆の甘味が際立つ。


塩釜市の揚げかまぼこメーカー「マルブン食品」が製造する、地元食材にこだわった新商品「和つまみ秘伝豆」だ。


角田市産枝豆を使用し、品種名から名付けた。


「地元に根差した商品を地元の人に食べてもらいたい」と社長の佐藤文行さん(54)は話す。


 




新商品「和つまみ」シリーズを手に、笑顔を見せる佐藤さん=塩釜市の「マルブン食品」本社



 


「和つまみ」シリーズは全4種類あり、3月から9月までの期間限定で販売している。


揚げかまぼこは一般的におでんや煮物など冬に需要が多いが、春夏にもお酒のつまみとして楽しんでもらおうと考案した。


材料となる野菜は厳選した国産野菜を使用する。


1969年の創業以来、化学調味料を使わない製法を守り続ける。


同業他社と一線を画す製造方法のため日持ちも短く、料金設定は高くせざるを得なかった。


宮城はかまぼこの激戦区。地元では売り上げが伸び悩み、関東を中心に関西にも販路を広げた。


卵を使用しないのでアレルギーを気にせず食べることができ、学校給食のニーズもある。


「安全な商品を口に運んでほしい」との思いで、従業員87人とともに製造に励んでいる。


 


2011年3月の東日本大震災では、2つの工場のうち1つが全壊した。


東京電力福島第一原発事故による風評で、東海以西の売上は震災前の30%に減少。


製品の放射線量をホームページに公開して安全性をアピールしているが、「東北だから(いらない)」と離れたままの取引先もある。


 


震災から3年。もともと販路の少なかった東北に目を向ける。


将来的には、工場敷地内に直売所を開設する計画だ。


製造現場を見学してもらい、揚げたてを試食してもらう。


「直接足を運んでもらい、商品の安全性やこだわりを知ってほしい」と佐藤さんは期待する。


震災のつめ跡が残る塩釜で、同社の挑戦は続く。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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