かわら版に託す思い 茨城大3年 吉田有希
20歳の冬。
「こいこい、こっち来て嗅いでみろ」。
杜氏(とうじ)が酒樽のふたを開けると、果物のように甘い香りがした。
樽の中にはうぐいす色の日本酒。味は今でも鮮明に脳裏に焼きついている。
「こいこい、こっち来て嗅いでみろ」。
杜氏(とうじ)が酒樽のふたを開けると、果物のように甘い香りがした。
樽の中にはうぐいす色の日本酒。味は今でも鮮明に脳裏に焼きついている。
佐藤華子さん(38)は宮城県松島町にある酒販店「むとう屋」の店長。
父が社長を務める店を手伝い始めた当初はアルバイト感覚。
半年ほどでやめるつもりだった。
杜氏との出会いを通して酒蔵の魅力を知り、どっぷりとはまった。
父が社長を務める店を手伝い始めた当初はアルバイト感覚。
半年ほどでやめるつもりだった。
杜氏との出会いを通して酒蔵の魅力を知り、どっぷりとはまった。
佐藤さんが22歳の時、当時別のスタッフが書いていた
「かわら版」の執筆を社長が任せてくれた。
「かわら版」はむとう屋おすすめの酒や肴を写真つきで紹介するリーフレットだ。
2カ月に1度発行し、全国各地およそ3500人もの会員に郵送する。
なかには「酒は飲めなくなったけどかわら版だけ送ってくれ」という客も。
佐藤さんは自ら杜氏のもとを訪れて酒造りにまつわるエピソードや味について話を聞く。
「かわら版」の執筆を社長が任せてくれた。
「かわら版」はむとう屋おすすめの酒や肴を写真つきで紹介するリーフレットだ。
2カ月に1度発行し、全国各地およそ3500人もの会員に郵送する。
なかには「酒は飲めなくなったけどかわら版だけ送ってくれ」という客も。
佐藤さんは自ら杜氏のもとを訪れて酒造りにまつわるエピソードや味について話を聞く。
取材を重ねるにつれて「酒屋のお嬢さん」から「はなちゃん」と呼ばれるまでになり、
杜氏との距離が近くなったと実感している。
あるかわら版の一コマには日本酒を杜氏の写真付きで紹介し、
「人柄と同じ味」と表現。
付き合いが長いからこそできるワザだ。
杜氏との距離が近くなったと実感している。
あるかわら版の一コマには日本酒を杜氏の写真付きで紹介し、
「人柄と同じ味」と表現。
付き合いが長いからこそできるワザだ。
2011年の東日本大震災。
店の1階部分に津波が押し寄せた。
店舗にあった商品が流され、顧客や納品先の情報も失った。
佐藤さんをはじめスタッフが「もうダメなんだ」と絶望。
支えてくれたのは蔵元や客だった。
店の1階部分に津波が押し寄せた。
店舗にあった商品が流され、顧客や納品先の情報も失った。
佐藤さんをはじめスタッフが「もうダメなんだ」と絶望。
支えてくれたのは蔵元や客だった。
全国各地から安否の気遣いや励ましのメッセージが届いた。
店に駆けつけて掃除を手伝ってくれる杜氏もいた。
店舗は2011年6月に再オープン。
震災後、止まっていたかわら版の発行は年末の再開にまでこぎつけた。
店に駆けつけて掃除を手伝ってくれる杜氏もいた。
店舗は2011年6月に再オープン。
震災後、止まっていたかわら版の発行は年末の再開にまでこぎつけた。
「作り手の気持ちを客に届けたい」。
東北の冬、酒を造る杜氏の手は真っ赤だ。
「こんなに頑張って造るお酒なんだからおいしいに決まっている」
と佐藤さんは力強く語る。
佐藤さんが書くかわら版は杜氏と客との架け橋になる。
東北の冬、酒を造る杜氏の手は真っ赤だ。
「こんなに頑張って造るお酒なんだからおいしいに決まっている」
と佐藤さんは力強く語る。
佐藤さんが書くかわら版は杜氏と客との架け橋になる。
【かわら版を手に笑顔を見せる佐藤店長】
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