東北の未来ここにあり! 東北大3年 高安優太郎



 閑静な住宅街の中にたたずむガラス張りの建物。

裏には河川が流れ、数百メートル離れたところには自社農園が広がる。


 注文したピザをほおばると口の中いっぱいにバジルとトマトの香りが広がり、

かみしめるとアスパラガスのみずみずしさと甘みが感じられる。

顔を上げると、壁にはトマト農家の笑顔の写真が飾られている。


 名取市杜せきのしたにある東北の食材をテーマにした商業施設「アタラタ」は

「ブッフェ&レストランアタラタマルシェ」やそばレストラン「焔蔵(えんぞう)」、

パン屋、東北の物産を扱ったアンテナショップの4棟から成る。


 「関わる人みんなと幸せになっていきたい」と全体の管理を行う近藤義文さん(36)=仙台市=。

「東北の復興のシンボルにしたい」というアタラタの考え方に共感して震災当時の仕事を退職。オープンから運営を支えた。




 2013年9月のオープン以来、アタラタでは障害者の雇用を積極的に努めている。

間もなくオープンから2年が経つ。従業員が80人いる中その半数に上る。


 きっかけは東日本大震災だった。津波が作業所や共同生活の場を押し流し、

通所者らは行き場を失った。

苦しい生活を強いられている現状を聞きつけ、

「働く場を提供したい」と採用を開始した。



 能力に合わせてパンをこねたり、バジルやトマトを農園から栽培してミキサーにかけてソースにしたりする。

 適性を見極めてあげることができれば、だれもが一つ一つの作業を丁寧に行う。

「できないことを求めるのではなく、差異を認めてあげること。それがよりよい社会、共に生きていくことになっていく」と近藤さんはアタラタの未来に大きな期待を寄せる。

 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。