C班原稿 レストラン「アタラタ・マルシェ」 食がつなぐ地域の輪

東京外国語大3年 小林知史

東北大3年 高安優太郎

法政大3年 須藤永里子

米沢女子短期大1年 佐藤佳苗


 


名取市杜せきのしたのレストラン「アタラタ・マルシェ」は

飲食店とアンテナショップの4棟からなる商業施設「アタラタ」の一部だ。

店内は74席のゆったりとしたつくりで、

屋根まで届くガラスの壁と、むき出しのはりが開放感を感じさせる。



アタラタの責任者で料理人も務める近藤義文さん(36)=仙台市=は

「店のコンセプトは食を通じて、生産者とお客さん、従業員を元気にすること」と説明する。



常時10種近くあるパスタをメーンに、

契約農家から直送した野菜や卵を使った総菜をビュッフェスタイルで味わえるのが売りだ。



【食を通じ、地域を元気にしようと挑む近藤さん】




真っ赤なミニトマトが輝くはちみつ煮、

緑鮮やかなブロッコーリーやみずみずしいアスパラガスなどボールいっぱいのサラダ。

壁に農家の顔写真を貼り、料理を選びながら食の安全安心を感じてもらえる工夫をしている。



東日本大震災で学んだのは「共存」の意識。

近藤さんは宮城の復興を応援しようというアタラタの創設に携わった

6人の共同経営者に共感し、務めていた飲食店を退職。

被災農家を支えようと開業準備に加わり、2013年9月にオープンさせた。




食材は農家から、生産者が納得する価格で買い取る。

経営の安定化を後押ししながら、流通コストを省くことで安く仕入れる結果となる。

客は新鮮な素材を安心して食べることができる。




「共存」は雇用でも実践する。

障害者を積極的に採用し、今では全従業員80人の半数を占める。

調理や接客のスキルを身に付けることで、

後々は自立した生活ができるようにとの願いで

個々の資質に合わせて事務仕事やピザ生地の製造を任せる。


 


店名にもこだわる。

フランス語で「絆」を意味するアタッチェと

「つながる」を意味するラチェッタを掛けあわせた。

地域と共に歩むメッセージを込めた。



開店から2年。

近藤さんは「雇用を増やすため、もっと集客したい」と話し、

遠方からも客を呼び込める「吸引力の強化」を課題に掲げる。



農家がもっと意欲を持つ仕掛けができないか、

野菜の味をもっと引き出すメニューは何か…。

アタラタのチャレンジが被災地の復興をリードしようとしている。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。