食通じ、人の輪繋ぐ 宮城大3年 石田優衣
店の棚には、見たことのないお菓子や新鮮な野菜がずらっと並んでいる。仙台市宮城野区宮城野に「エコロジーショップ・エナジー」という自然食品店がある。日本各地の有機野菜や日用品、書籍など約1000点を販売し、県内外から客が訪れる。近所には商品の配達も行っている。オーナーの成瀬順之さん(44)は、2007年5月に店を開いた。普段から有機野菜を主体とした食事を続け、体に優しい生活を心がけている。
「食」に目覚めたのは、20代後半の時。1人暮らしをしていた頃、ストレスによる体調不良が続き、腸を原因不明の痛みが襲った。独自で治療法に関する本を読みあさった。1冊の本に出合った。食生活の改善と有機野菜主体の食事を勧める内容だった。本に従い生活を見直すと、症状が改善し、「食」の大切さを痛感した。
即座に、「自然食品店を経営しよう」と決意。派遣の仕事などをして開業資金を稼ぎ、約4年で開店にこぎ着けた。当初、経営は順調でなかった。商品がほとんど売れず、店の裏で泣いたこともあった。
開店から約4年後、転機が訪れる。2011年の東日本大震災だ。商品が散乱し、不安でいっぱいの中、翌日に店を再開した。客が来るか心配だったが、店の前には人が集まっていた。「開いていてほっとした、ありがとう」。客の笑顔こそ自分が求めているものだと気づいた。
経営で何より大切にするのが「お客さんとの信頼関係」だ。仕入れ先と密に情報交換を重ねるなど努力を怠らない。現在のように客から頼りにされる店に育ったのは、成瀬さんの努力のたまものだろう。
「将来は食堂をやりたいね」と夢を語る。客とのつながりをさらに深めたいという一心からだ。食堂を併設し、ランチや弁当の提供をしたいと考える。「おいしいね」という客の言葉を求め、成瀬さんは日々頑張る。
【常連客に商品の説明をする成瀬さん】
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