人として誠実に プロの意識 立命館大3年 佐藤圭悟

仙台市若林区の道場に拠点を置く「センダイガールズプロレスリング」(仙女)は、代表の里村明衣子(36)さんを含む5人の選手を抱える女子プロレス団体。ほぼ毎月仙台で試合を行うほか、東京や大阪、福岡などでも主催試合を開催する。7月で10周年を迎え、2020年の武道館進出を掲げている。牽引役で選手歴20年の里村さんは、「人として真っ当であることは、業種を問わず求められる」と語る。


中学2年生の頃聞いたプロレスラーの馳浩さんの講演が、プロレスに憧れるきっかけとなった。一方、華やかな業界の裏には、下積みや雑用が欠かせないことも知った。リング外での苦労を重ねて初めて栄光をつかめる世界に1994年飛び込んだ。


駆け出しのころ、大阪公演で先輩のガウンを横浜に忘れてしまった。里村さんは嘘でごまかそうとしたが、先輩にすぐ見破られ、横浜まで取りに戻った。予定されていた試合の出演を禁止され、人を欺くと痛いツケが返ってくると痛感した。


新人を採用する際には、人間性を重んじる。里村さんは「その子に光るものがあれば、採用する。根性は後から身についてくる」と話す。代表就任前の2011年までは、入団希望者を可能な限り受け入れていたが、基本的な生活態度から指導しなければならないような練習生は、厳しい練習についていけなくなったという。


 里村さんの姿勢は、他の選手にも伝わっている。長年の仲間であるDASH・チサコ選手(27)は里村さんに、常に見られていることを意識するよう、教えられた。コンビニでおにぎりを頬張る自分を、ファンが見てどう思うかに気を配るようになった。プロレスラーは憧れの存在であることを意識し始めた。


「成長していく選手の、顔つきや体つきが逞しくなる過程が醍醐味」と女子プロレスの魅力を話す里村さん。プロレスの技だけでなく、日頃から人間性を高めるよう、20年のキャリアを最大限生かし、今後も次世代の選手育成に注力し続ける。



選手たちとミーティング中の里村明衣子さん(36)(左から2番目)とDASH・チサコさん(27)(左から3番目)


--------

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。