魅力伝える、アイデアの花咲かす 東北大3年 濱田佳那子


 


 仙台市青葉区のマーブルロードおおまちに一軒の生花店がある。


1954年に創業し仙台市内に4店舗を構える「ハナサク」の「おおまち小町店」。


店に入ると、マグカップやアロマなどの雑貨が店内の半分を占める。


専務の佐藤真弓さん(61)は


「普段花屋に行かない人にも店に入ってもらえるように考えました」と説明する。


ハナサクは「花の生命力や季節感という魅力を知ってほしい」と、


独自のアイデアで花に触れる機会を作っている。


 


 子供にも花を楽しんでもらおうと考案したのが「キッズスクール」だ。


宮城野区の「鶴ケ谷アバイン店」で2010年から開催している。


年10回ほど、バレンタインや母の日など季節のイベントに合わせ、


小・中学生がフラワーアレンジメントやリースを作る。


作品は各自持ち帰り、花のある生活を楽しんでもらっている。


佐藤さんは「参加した女の子が、花を好きになって他のイベントにも来てくれたんです」と


花との関係を深められことを喜ぶ。


 


 今年10月には、男性をターゲットに「花コン」を初開催した。


男女の出会いの場として流行する「街コン」を参考に、男女ペアでのアレンジメント作りを盛り込んだ。


企画した萬代海彦さん(37)が「アレンジメントは説明書のないプラモデル作りのようなもの。男性は夢中になりやすい」と思い描いたように、初めて花を生ける男性も楽しんだ。


花コンに参加してから店を訪れるようになった男性もいて、取り組みに手ごたえを感じている。


 


 東日本大震災直後の11年3月、店に入荷していた桜が花を咲かせた。


食べ物すら手に入らない窮状下、花を買いに来る人はほとんどいなかった。


「自由に持って行ってほしい」と店先に並べておくと、ひとつ残らずなくなった。


佐藤さんは「花でお腹は満たせないけど、心は安らぐんですね」と花の力をあらためて実感した。


 



花の魅力に触れて笑顔の佐藤さん(左)と萬代さん


 


 「今後も店舗の工夫やイベントを続けていく。より多くの人に花に触れてもらえるようにしたい」と佐藤さん。


花の魅力を伝えるハナサクは、花を愛する人の種をまき続ける。


 


 



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河北新報社 記者と駆けるインターン

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