人をつなぐ花  宮城学院女子大3年 及川愛結

 花を通して人と人をつなげようと奮闘する生花店がある。仙台市青葉区に本店を置く「ハナサク」は1954年の創業。仙台市内に4店舗を構える。客層の中心は20~50代の女性。イベントを行い、男性客も店に来るきっかけを作っている。


 「花コン」は今年の10月に開催した。自己紹介ののちレッスンで打ち解け、懇親会で親睦を深める。20~30代の男女5人ずつが参加した。男性従業員が講師を務めるレッスンは、ペアになった男女でひとつのフラワーアレンジメントを作るというもの。初め、花の扱いに慣れない男性が戸惑いを見せていた。時間が経つにつれて女性よりも楽しんで作業を行っていた。「フラワーアレンジメントは、説明書のないプラモデル作りのようなもの。男性は夢中になりやすいと思う」と花コンを企画した業務部・営業部課長の萬代海彦さん(37)は語る。イベントが終わってから、花コンに参加した男性が花を注文するようになった。「直接お店には行きにくいが、知り合いがいると頼める」という。花コンが花を買うきっかけとなり、客と従業員がつながった。


 2011年の東日本大震災の直後には、チャリティーイベントを行った。震災で落ち込んだ街に、賑わいを取り戻したいという思いからだ。一回目の開催は5月。アーケードに花を並べ、売上金は寄付をした。当初、寒色系の花が多く売れていた。買った客は「涙が出るほど嬉しい」と声を掛けてくれたが、内心は暗い気分でいるのが、花を通して目に見えた。イベントを2回、3回と重ねるうちに暖色系の花も売れるようになった。気分が明るくなってきたようだ。花と人はつながっていて、時に心を映し出す。


 「花に触れる習慣のない人にも、花を知ってほしい」。その思いで始めたハナサクのイベントは、女性だけでなく男性の心にも響いている。専務の佐藤真弓さん(61)は「花でお腹は満たせないけど、心は安らぐんですね」とほほえむ。これからも花で心に癒しを届け、人をつなぎ続けていく。


 



花に笑顔を向ける佐藤さん(左)と萬代さん(右)


 


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。