苦は楽の種  中央大1年 大塚雄大

 今日で3日目を迎えました、「記者と駆けるインターンシップ2016夏」です。


 


 本日の記事は、中央大法学部政治学科1年の大塚雄大が担当します。


通算14期の参加者18人の中では最年少です。

ちなみに今回参加の1年生は私を含めて3人。少しでも新風を吹き込めるよう頑張ります!


 


 


 


 午前中は、お互いの原稿を批評し合う「合評会」でした。


 原稿は、昨日みんなでインタビューした大崎市の「ウラバタケCafé」のスタッフ、福島忍さんの人物紹介記事です。


 みんな深夜・早朝まで掛かって書き上げた記事です。3班に分かれて、記事の良かった点、悪かった点を指摘し合います。


 苦労して書き上げた記事でも、各班に入ったデスクの指摘は容赦ありません。我々学生だけでは気づかないような指導、アドバイスをもらいました。


 


 


 


合評会で大事なのは、自分の原稿に対するアドバイスを「聞く」だけではありません。仲間の原稿の弱点や、情報が不足している点を見つけ出し、「指摘する」ことも重要です。班の全員が仲間の原稿に真剣に向き合い、至らない点を必死になって伝え合いました。


その中で、自分の至らなかった点は「一文をコンパクトにまとめること」でした。文章の中に情報が盛り込まれていても、過度に長ければ読みにくく、結果として伝えたい情報がかすんでしまいます。短い文章でまとめられれば、必要な情報が際立って、メッセージはむしろ明確になります。


これは普段から文章を書く際にも心がけたい大切なポイント。自分自身が向き合わなければならない課題がクリアになりました。


 


デスクの指摘の中で印象深かったのは「事実確認の徹底」と「読者に疑問を持たせない」の2つです。


 


 間違った情報を流せば、読者にも取材先にも大迷惑。新聞の信用にも関わります。記事を書く場合、不明な点があれば手間をいとわず確認する重要性を学びました。

 場合によっては、取材相手自身が事実関係を誤解していたり、勘違いしていたりすることもあるので、資料を読み込んだり、関係者に確かめたり、事実確認を徹底しなければならないことにも気づかされました。


 


 「読者に疑問を持たせない」という指摘は、はっきり言って、寝耳に水、目から鱗のアドバイスでした。取材時にはっきりと理解できなかったことは、記事を書く段階になれば、ほとんど役に立たないことを知りました。


 おぼろげな理解では、不明瞭な表現しかできません。そうなれば読者は読み進めても頭の中に「?」が増える一方です。読むことを途中で止めてしまったり、読み終えても真意は伝わっていなかったり、結局記事は本来の役目を果たしきれません。


 例えば、今日の原稿の中にあったのは「様々」や「ユニーク」。何がどう様々なのか、何がどうユニークなのか、書き手は分かっても、読者には全く意味不明です。抽象的な表現に逃げずに、いかに具体的に書くか─。ここでも事実を確かめる重要性を再確認しました。


 


 こんな指摘が約2時間、みっちりと続きました。どの班のメンバーもデスクや仲間の助言に必死に耳を傾け、原稿の余白にペンを走らせ、少しでも自分の血肉にしようと必死でした。


 「あー、記者インターンやってる!」。実感する時間でした。


 


 昼食を済ませ、各班のグループワークに移りました。ここで取材のアポイントをとれた班もあり、早速取材に出て行った班もあります。


 



 


 午後は、写真部デスク・門田さんによる写真の寸評がありました。


 寸評の対象は、昨夜から今朝にかけ、インターン生一人一人が、寝る暇を惜しんで撮った苦心作です。

 門田さんから昨日課せられた作品のテーマは「夏の終わり」。その結果、枯れたひまわりや、閑散としたかき氷屋、道端に咲いた1本の百合の花など、過行く夏を象徴する構図がそろいました。夏バテの時には思わず手が伸びるエナジードリンクや、既に盛りを過ぎた売れ残りの扇風機などにレンズを向けた意外作もあり、門田さんから「ユニーク!」との声が上がる写真もありました。


 


 自分たちが撮った写真をプロに批評してもらう嬉しさと、「どんなことを言われるのか」という不安。自分の写真を説明する段になると、背筋が伸びる気がしました。自分が言いたいことを写真と言葉の両面から伝えること、これがこんなにも難しいとは思いませんでした。それぞれの写真紹介が終わった後、門田さんが指摘した内容は、どれも想像力と発想力に富んだもので、多くのことに気づかされました。

 特に写真で注意を払うべきなのは、スポットを当てたいメーンの被写体だけではなく、余白を占める脇役や
背後に写る情景にまで気を配るという気遣いには、かなり驚きましたが、同時に大きな共感を覚えました。


 


 さあ、座学はここまでです。


大泉さんが言いました。


「お勉強はここまで。ここからは君たちが外に出て、自分たちで学び取っていく時間」



「いよいよ取材が始まるのか…」と身が引き締まる感覚がありました。


 


 台風の影響もあり今日は朝から大荒れの天気でした。


それが午後は台風一過の晴天。とても気温が上がりました。


 


 東京から仙台に来た直後は、夏でも涼しい北国の空気に触れて「風邪ひきそう…」なんて思った自分がいました。しかし、天気なんかに負けてはいられません! もちろん、デスクの苦言にもです! 


 「苦は楽の種」

 そう信じて、最後まで全力で走り切りたいです!


 


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。