人の心を写し出す写真の力 司法修習生 照井国興

「記者と駆けるインターンシップ2016夏」2日目のブログ担当は、

司法修習生の照井国興です。

14期生18人のなかでは最年長の27歳です。


 


昨晩は交流会がありました。

5つの取材班のメンバーと担当デスクが発表され、

一人一人がこの13日間を駆ける意気込みのキーワードと抱負を披露しました。


それぞれの個性と熱い決意を垣間見た、楽しいひと時でした。



 


さて、そんな熱く楽しい交流会の夜が明け、インターン2日目です。


 


午前中は、大泉大介記者による、「取材を成功させる10の法則、確かな記事を書く7つの法則」という題目の講義を聞きました。

大泉記者が20年を超える記者人生を通じて体得したノウハウを余すことなく教えていただきました。


取材を成功させる10の法則は、「10聞く中で書くのは2~3」、「時系列で全体を把握し、5W1Hを基本にエポックの深堀りをする」、「記者が取材相手と一緒に自らをさらけ出し裸になる」など、まさに目から鱗が落ちる内容ばかりでした。


特に、「取材先の歩みを時系列で追体験するように聞く」「5W1Hの情報を漏らさず確かめる」といった注意点は取材に限らず、あらゆる対人コミュニケーションにも応用可能な有効な指摘だと感じました。


 


記事を上手に書く7つの鉄則も、記事を含めた文章を執筆する上で重要なエッセンスを学びました。


中でも、執筆の序盤から「完璧な書き出しを求めるのは厳禁」であり、まずは掘立小屋を建てるようにシンプルな枠組みを構築し、それを補強していくイメージを持って記事を書いていくべきであるというアドバイスが印象的でした。


文章執筆の効率化を図るための普遍的な方法であると感じました。


 


せっかく有効な教えを授けてもらっても、「理解すること」と「できること」は全く別物。

実践しようとしても失敗を繰り返すでしょう。




これから挑戦と失敗を繰り返して、法則・鉄則の一端でも体得しようと決意を新たにしました。


 



 


昼休みの時間は、それぞれの班に分かれて昼食をとりながら、取材先の選定等を行いました。



 


午後は、写真部の門田勲デスクによる写真研修。

演題は「報道写真の撮影と心得」でした。


門田デスクは震災時、苦悩しながらも、「写真を撮ることでしか、震災中に必死に明日を生きようとする方に希望を伝えられない」との思いでシャッターを押し続けたということです。


河北新報の記者は、日々、写真撮影をしながら、自身の伝えたい思いを1枚1枚の写真に託していることを知りました。


報道写真はまさに記者の思いの結晶であるのだと感じました。


門田デスクは研修の中で、震災時に撮影された多くの写真をスクリーンに掲出し、それぞれの写真が撮影された背景やエピソードを真剣な眼差しで語ってくださいました。



私は、特に、オレンジ色の背景の中で多くの人が肩を寄せ合い、光り輝く初日の出を一緒に眺めている写真を見て、極めて悲惨な現状の中でも、人々が確かに繋がっているということの温もり、希望を感じ、胸を撃たれました。


多くの印象的な写真を見て、「人の心を写し出す写真」の力を強く感じました。



 


続いて、画面分割の方法、アングルの工夫など、具体的な写真撮影の方法の基本を教えていただきました。


今まで漠然と何も考えずに写真を撮ってきた私にとっては非常に新鮮な内容が多く、大変勉強になりました。


教わった内容を踏まえ、さっそく、「夏の終わり」というテーマで写真撮影を実践することになりました。



 


最後のプログラムとして、模擬インタビュー見学と補足取材が行われました。


大泉記者が模擬インタビューを実演してくださいました。

取材相手の方は、大崎市古川にある「ウラバタケCafé」でホールスタッフをしている福島忍さん(40歳)です。


大泉記者はまず、福島さんの仕事概要を取材。

店の立地や店の様子、メニューなどを確かめながら、訪れたことのない店を目の前に見えるように浮かび上がらせていきました。


世の中にあまたあるカフェと、ウラバタケCaféは何が違うのか。

取材を通じて、特徴を見事に引き出していきました。


ウラバタケCaféは、人とのつながりを重視している店であることが分かりました。

新しい目標を持つ若者が多く集まる場です。

そして、福島さんがその人たちのお母さんのような立場で、目標達成を支援している姿が浮かんできました。


大泉記者は、「現在」「過去」「未来」という時間軸の順序で取材を進めていました。

お店の特徴などのエポックを見事に掘り下げるなど、午前中の講義をまさに実践していらっしゃり、理論と実践が繋がるプロの力を実感しました。



 


大泉さんのインタビューで聞き足りなかったところ、不確かなところは学生が各々質問をして、空白を埋める作業をしました。


皆が次々と手を挙げて、福島さんの実像に迫ろうとしていました。


 


取材の成果は、明日朝までに1本の記事として提出することが今夜の宿題です。


門田デスクから課された写真撮影と合わせて、今夜は宿題2つ。


オリンピック観戦を楽しんでいる暇は、インターン生にはありません。


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。