絵本で子どもの成長を応援する 岩手大3年 村木 亮介

仙台駅から北西にバスで約20分の所にある築140年の木造店舗。「横田や」の大きな看板が目に留まる。建物の前に木製のベンチが2つ佇む。


仙台市青葉区北山1丁目の「絵本と木のおもちゃ 横田や」。店主の横田重俊(67)さんと妻の敬子(60)さんが営む。みそしょうゆ店、文房具店を得て、1987年から絵本やおもちゃを売り始めた。木の本棚には、絵本がぎっしりと並ぶ。丸い棚や机の上には、木のけん玉や鉄道レール。子ども達が嬉しそうに遊んでいる。


店内では、多くの親が絵本を真剣に探す。敬子さんは絵本を選びあぐねている姿を見て、「親も興味がある絵本を買うと良いですよ」と助言。親子で一緒に楽しむ事を薦める。「子どもは絵本から得た発見を親に伝えたい。親が子供の発見を褒めてあげれば、子どもはもっと絵本の世界にのめりこむ」。敬子さんは、忘れられがちな親の役割の大事さを強調する。


横田さん夫妻は毎週金曜日に店で、乳幼児とその親を対象にお話し会を開く。ある日のお話し会の終わり、子どもは椅子に座った親の手を握りわらべ歌を歌い始めた。一人の子が親の頭の高さまでジャンプすると、他の子ども達も真似てジャンプをした。敬子さんは、その姿に「よくできたね。すごい。」と温かく声をかけた。敬子さんにとって、子どもの成長を見るのが楽しみだ。


東日本大震災後、ガソリンが不足した。車が使えず、物資を被災地に送れずにいた。お話し会の参加者のおかげで、絵本やおもちゃを気仙沼市の保育所や幼稚園に送ることができた。絵本を愛する人の輪が、絵本を待つ人の力になった。


「因果応報、油断大敵、勧善懲悪…。絵本の物語は多くの教訓を含む。絵本を楽しみながら教訓を感じてほしい」と横田さん夫妻は力を込める。


絵本をじっくり選べる雰囲気と、子育てを支える姿勢。横田夫妻の地道な取り組みは明日へと続く。



自慢の絵本を片手に笑顔の横田夫妻。絵本とともに生きる


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。