岩見組 地域の「困った」を解決したい 東北学院大3年 市川文章

 「困りごとの解決で地域と向き合いたい」。常磐自動車道山元インターチェンジ近くの建物に大きく書かれた社名とロゴ。広い敷地に並ぶ重機や車の数々。建設会社「岩見組」の2代目、岩見圭記社長(51)が経営を切り盛りする。

 創業40年。公共、民間問わずさまざまな事業に取り組む。地域住民からの相談にも親身に聞いている。  

自社で対応できない場合は責任をもって他の業者を紹介する。積極的に地域の行事や会合に参加して困りごとを探す。従業員同士でも話し合い、全員でアイデアを考える。

 こうして誕生したのが「里山マット」だ。町にはお年寄りが多く、玄関や庭先で転倒しけがをする心配の声が上がった。地域資源である木を砕きチップ状にしたものを素材に使い、骨折などのおそれが少ない外構マットを考案した。踏むとやわらかく、まるで里山にあるふかふかした腐葉土のよう。日々改良を重ね、今後は壁面に応用したり、竹やわらを新素材として利用したりする構想も描く。

 2000年代に入り、公共事業が年々減少した。そのさなかに発生した東日本大震災。津波が押し寄せ、町は変わり果てた。役場の職員に頼まれ、翌日から重機を使ってがれきをかき分ける作業を始めた。敷地外へ運び出し、建物を解体する。無心になって働いた。震災で仕事が増えた。気付けば2年が経っていた。「たくさんの人がつらい思いをしている。これからは土木業だけに限らず様々な地域の困りごとも解決したい」。震災を機に思いは増した。

 現在、7‐8割を占める復興関係の工事が縮小する。人々の困りごと解決により力を入れていく。「困ったら真っ先に相談される」。町民に必要とされる会社を目指し、今日も地域の声に耳を傾ける。



【里山マットを手で確かめながら改良を思案する岩見社長】

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。