岩見組 町を支える縁の下の力持ち 法政大2年北本優葉
「地元の資材を生かし、地域の困りごとを解決したい」。宮城県山元町の建設会社「岩見組」岩見圭記社長(51)は力強く話す。常磐自動車道、山元インターチェンジ近く。事務所脇にダンプカー、ショベルカーが並ぶ。1972年の創業以来、道路工事や建物の基礎作りなどに携わってきた。現在は仕事の7、8割を東日本大震災の復興事業が占め、新市街地づくりを担う。
公共事業は年々減少していた。「これからどうしていこうか」。社員が知恵を出し合い新たな需要を掘り起こしていたころ、震災が起こる。山元町沿岸部は津波に襲われ、多くの町民が犠牲となった。敷地にあるがれきを運搬し、全半壊した家屋を解体。「とにかくがれきをどかさないと、何もできなかった」。次々舞い込む仕事、無我夢中で働き続けた。
仕事が増え、経営は持ち直した。一方、町内には生活の立て直しに懸命な人たちがいる。「忙しくなっていいね、という言葉が耳に残っている」。大変な出来事で仕事を得ていることへの葛藤が続いた。地域への使命感が一段と強くなった。
3年前、地域住民の意見をもとに開発したのが庭に敷く「里山マット」。当時、町ではお年寄りの転倒によるけがを心配する声が上がっていた。木のチップでできたマットを踏むと、土のように柔らかい。転んでも、衝撃が吸収されるため、けがの心配が少ない。町で取れた資材を使い、地産地消も意識した。
会社を支えた復興事業もやがては減少していく。今後を見据えれば、地域に根差した事業が必要になるだろう。「まずは里山マットをより良いものにする」。より柔らかく、チップが剥がれにくい、満足のいく製品を作るまで改良を続けていく。
「困ったときには岩見組」。地域に必要とされる会社であり続けるために土木業の枠をこえることもいとわない。
町に寄り添い、町のために働く。今後も姿勢を貫く。
「もう少しこうしたい・・・。」里山マットを手に、さらなる改良を目指す岩見社長
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