Lamp of Hope(仙台市青葉区) 希望の灯火きっかけに 福島大3年 佐々木春奈

夕暮れ時、店の前を通る人々はキャンドルの灯りに心を奪われる。足を踏みいれると、壁にはたくさんのキャンドルが並ぶ。花柄やメッセージ入り、香り付き…。「キャンドルの光や揺れには心を開かせる効果があるんでしょうね。お客さんの中には悩み相談をしていく人もいます」。オーナーの相原真也さん(45)は微笑む。

仙台市青葉区北山にある「Lamp of Hope(ランプオブホープ)」は、制作・販売を通じてキャンドルの魅力を伝えている。最近ではSNSから人気が広まり、隣県から足を運ぶ人も多い。

東日本大震災の時、相原さんは仙台市内で被災。食料調達が困難で電気も無い生活の中では、自分が生きることに精一杯だった。それでもあの混乱の中で他人に手を差し伸べる人はいた。

「自分になにかできることはないか」。模索する中、相原さんは当時の同僚と共にキャンドルに着眼。雑貨として捉えられていたキャンドルは、停電時、明かりとして役立った。炎の揺らめきには人々を癒す効果もある。相原さんは各地でキャンドル制作のワークショップを開きながら、魅力を広めていった。「どこで手に入れられるの」と聞かれることも多くなり、2012年9月、店をオープン。店名には「キャンドルの灯火で誰かが希望を抱いてくれたら」という願いを込めた。

1本のキャンドルが、暗闇を照らす明かりとなり、どれだけ明日への希望となるか─。相原さんは震災から時間が経つにつれ、人々があの時の教訓を忘れていくように感じた。12年からはイベントを通じ、足元を見つめ直すメッセージを発信し続ける。近年はチャリティーライブやフードの出展も始め、より多くの人に気軽に参加してもらえるように工夫している。「(キャンドルを)『綺麗』と思うところからでもいい。震災のことを考え、防災に繋げるきっかけにしてほしい」

キャンドルを介した発信を始めて今年で8年。相原さんはこれからもキャンドルの魅力を伝え、人々の心に灯りを灯し続ける。

キャンドルに灯りを灯すオーナーの相原さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。