布久満(ふくみつ) 繋がりゆく 着物の文化 C班 東北学院大学 渡辺紗彩

 「日本は着物を無くしたら魅力が消える。」そう語るのは仙台市長町にある店「四季のきもの布久満」を営む谷政子さん(65)だ。店は夫と28年前から創設した。

 幼い頃、祖母がよく着物を繕っているのを目にしており、着物が好きだった。着物と人の距離を近づけたい。そう感じたことが店の始まりだ。店名は夫が「布を幾久しく満足に」の意味を込めて名付けた。店名を胸に刻み、仕事に励んだ。

 布久満は販売以外にも、お直しや着物教室も行っている。現代の着物は値段が価値を生む品になってきており、普段着で当たり前だった着物姿は時代と共に消えてきている。着物店として着物を売ることは当然。だが「押し売りはしない。顧客個人をさらに引き立てる着物と巡り合わせたい」。そのためなら何度でも相談にのる。運命の着物は購入者にとって一生の宝物になるからだ。

 着物は何度でも縫い直して着られる。祖母から母へ、そして娘に。着物は受け継ぐ想いをのせて時代を生きてきた。いわば、「リサイクルの究極」だ。だが、バブルなどの時代転機を経て、直すより新品を買う傾向が増えた。それでは愛着もなく、簡単に捨てる。「古くから繋がれてきた着物の良さが消えてしまう」。谷さんは着物の販売と共に魅力を伝える事に努めている。

 東日本大震災当時、石巻の顧客から電話がきた。「ドロドロになった着物を直して。」着物は20枚を超え、ゴミ袋に入った状態で数回に渡り、送られた。顧客の着物への愛着、想いが伝わった。取引先の京都の業者に依頼し、できる限り修復、状態がひどい着物も泥をとって反物まで直すことが出来た。着物をこれほど大事にしてくれる人がまだいる。肌で感じた。

「文化を伝えることが使命。」高校で外部講師として浴衣の着方を教えたり、小学校で祖母の着物を着て見せ、着物の伝統を伝えたりと魅力を届けている。

着物の袖を通し、みせてくれる笑顔が谷さんの原動力だ。谷さんは今日も着物の帯を締める。

各地独特の反物が店に並び、1つ1つの魅力を伝えたいと語る谷さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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