震災時の人とのつながり  東北学院大学4年 佐々木翔太

「東日本大震災は想定外の事態が次々起こり、その都度勉強しながらでした」

そう語るのはネパールからの留学生で東北学院大学に通うラミチャネ・アダルさん(24)だ。

「自分の持っている力で誰かを助けたい」。2010年から仙台市災害時言語ボランティアに登録して研修を受けていた。



 東日本大震災発生当日、3月11日の夜からSIRA(サイラ、仙台国際交流協会)でボランティア活動を始めたが、震災前のマニュアルは阪神淡路大震災を参考に作られていたため参考にはならなかった。災害規模や、被害状況が異なっていたためだ。



 海外メディアからの問い合わせや身内の安否を確認する国際電話の対応に当たった。さらに、外国人の慣れない避難所生活での負担を減らすためニーズを聞いて回り解決の糸口を探った。

 

 ラミチャネさんはこの時のもどかしさを思い起こす。「多くの外国人が状況を理解出来ておらず、避難所での待遇に納得していなかった。日本人とコミュニケーションが取れている人は情報の共有ができ状況を理解して助け合いできていた」。



 「なんとかしなくては」と、ラミチャネさんは震災1ヵ月後にコミュニケーションの場としてネット上の会員制交流サイトFaceBookで『インターナショナルズイン仙台』を仲間と共にメディアから流れる情報の多言語訳での発信を始めた。



 ピーク時には国、性別を問わず80カ国200人が参加した。参加者はそこから得た情報を口コミでネット環境がない仲間に伝える事が出来た。アダルさんは話す。「いつ何が起こるのかわからない。日頃から人とのつながりを持ち、心のより所を作っておくことが大切」。

普段はもとより特に震災時などの緊急時には、心のより所としてコミュニティが必要になってくる。相手と繋がっていると実感できるだけで心には安らぎと平穏がもたらされるからだ。

 

 ラミチャネさんは「数年の内にネパールで今回の東日本大震災で体験したこと、得たことを伝えるためのセミナーを開きたい」と目標を語った。





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時折笑顔を交えて語るラミチャネ・アダルさん
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河北新報社 記者と駆けるインターン

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