介護に広がる笑顔の輪 ここみケア  F班

湯本勝大(明治大2年)

石川椋(東北学院大3年)

鴫原真絵(成城大3年)

齋藤万里恵(宮城大3年)




毎月、各施設から従業員の笑顔の写真が集まる企業がある。

仙台市青葉区中央に本部を置く「ここみケア」。1999年に設立し、宮城県内にグループホームやデイサービスセンターなど21事業所を展開している。従業員は総勢約300人。利用登録者は約3000人に上る。



 「日本中に笑顔をつくる法人になる」。社長の兼子広喜さん(39)は意気込む。





介護事業について笑顔で語る兼子広喜さん=仙台市青葉区中央のここみケア本社





同社はその一環として、1年前から「笑顔グランプリ」を開催している。MVPの選出基準は「笑顔がすてき」「社会人としてのマナーがなっている」「お客様に笑顔で喜んでもらっている」の3点。対象は施設の従業員で、施設利用者の声も反映し、投票によって施設ごとに月間MVPが選ばれる。年末に年間MVPも決め、選ばれた人はそれぞれ金一封が贈られる。



従業員が笑顔になることは、施設の雰囲気を和ませ、利用者の心を穏やかにする。利用者の心の安定は、家族の安心にもつながる。従業員から利用者、その家族へ。笑顔の輪が広がっている。



もちろん、事業内容の充実も図る。

同社の経営理念は「生活を護(まも)る」。対象は、利用者、家族、従業員と、介護に関わる人すべて。これまでの利用者の生活スタイルをできるだけ維持できるよう、施設介護や在宅介護を通して、サポートする。



「社会との関わりが薄れて孤立しがちな高齢者に、デイサービスなどで交流の場をつくることも大切な役目です」



介護の質を上げるため、同社は「食」にも力を入れる。利用者への食事提供を外注していたのを2007年、自社提供できるように切り替えた。安心で安全な食事を提供し、食での自立を促すことにも努めている。



家族に対するサポートにも心を配る。

「『介護の相談はどこでするの』と聞かれても、ピンとこないでしょ」と兼子さん。介護について悩む家族のため、気軽に相談できる窓口を青葉区二日町と若林区保春院前丁の2カ所に設けている。



「大変そう、つらそうというイメージが先行している介護業界」。実際に業界全体では、働き手が少ないそうだ。



「介護は、人を笑顔にできる素晴らしい仕事だ。大変だと思わずに、介護の仕事に興味を持ってほしい」と訴えた。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。