NPOのまとめ役「継続した支援を」 杜の伝言板ゆるる  A班

徳田博明(広島大4年)

東海林広高(東北学院大3年)

荒美咲(宮城大2年)

田部愛(早稲田大3年)






2014年1月、通算200号の節目を迎えるNPO情報誌がある。宮城県内で活動する団体の今を市民に伝える『杜の伝言板ゆるる』だ。1997年6月の創刊以来、毎月1回、発行している。



A4版で16ページ。単色印刷の質素なつくりで、NPOの主催イベント情報、助成金のお知らせなどを載せる。東日本大震災後、2000部増やし1万部とし、役場や公民館などに加え、仮設住宅にも配り始めた。冊子を手に取れない県外の人たちを意識し、紙面はHPでも公開している。



発行元は、媒体名と同じ仙台市のNPO法人「杜の伝言板ゆるる」。宮城野区榴岡にある県の「みやぎNPOプラザ」の指定管理者で、スタッフ13人を抱える県内NPOの先駆け。多彩な事業を展開し、中でも、月刊誌の発行は発足当初からの主軸だ。





未来を見据える大久保朝江代表理事=仙台市宮城野区榴岡のみやぎNPOプラザ



大久保朝江理事長(65)は「多くの市民にとって、NPOの存在や役割は分かりにくい。そこを何とかしたくて、気付けば16年です」。間もなく大台達成となる情報発信の積み重ねで、地元では「NPO情報なら『ゆるる』」との地歩を固めた。



支援の活動は、情報発信にとどまらない。NPOのより確かな事業展開のために、スキルアップ支援にも力を入れてきた。助成金申請の書き方講座、マスコミを味方につけるプレスリリースの勉強会、煩雑な会計手法の伝授・・・。ゆるるのサポートが、NPOの誕生を支え、進化を助けてきた。



「せんだい杜の子ども劇場」も支援を受ける団体の一つだ。任意団体からNPOに移行する際、申請書類作成の手助けを受けた。最近では、職員の雇用に伴う各種保険について助言を受けている。有坂紀美江副代表理事(55)は「時には叱咤(しった)激励されます。とても頼りになる『NPOのためのNPO』です」と感謝する。



大久保理事長は「震災で多くのボランティアが来てくれたけど、いつかは帰ってしまう。私たちは、地道に地域で歩むNPOをしっかり支え続けていきたいのです」と話す。



「ゆるる」の意味は、古語の「ゆったり、少しずつ」に由来する。、その名の通り、200号を超えても堅実な歩みは続く。これまでもこれからも。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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