地元が立ち上がる  東北学院大・東海林広高

 「杜の掲示板ゆるる」は、NPOをサポートするNPO。仙台市宮城野区榴岡を拠点に活動する団体だ。被災地では多くのNPO団体が募ったボランティアが復旧活動をしている。その団体の会計や情報発信などの多面的な活動を支える中間支援団体、それが「ゆるる」だ。



 同団体では「月刊杜の伝言板ゆるる」を発行している。主に県内NPO団体がどのような活動をしているのか紹介している情報誌だ。これは1997年1月にスタートし、同年6月に現在の名前の「杜の伝言板ゆるる」となった。



 震災後の2011年4月号では、災害救助系の情報を細かく載せた。さらに震災1年目は、これまで通り震災以前から活動していたNPOにスポットを当てて、ゆるるを発行した。

 

 4月号は、すべてが被災地の情報ではなかった。とあるNPO団体のスタッフは良い意味で「冷静だね」と、ゆるる代表の大久保朝江(65)さんに告げた。

 

 大久保さんの冷静に周りを見通す客観性が、他のNPO団体を唸らせた。「たしかに沿岸部の人は大きな被害を受けた。でも中心部に住んでいる人の中で普通に生活できる人もいる」と大久保さん。また2年目は震災後に、地元の人によって作られたNPOの紹介をメインにしている。「震災が起きた前後に関わらず、例えば高齢化の問題はある。地域社会に既に存在する問題を解決することも必要だ」と大久保さんは語る。

 





冷静に語る代表理事の大久保朝江さん=仙台市宮城野区 宮城NPOプラザ



 復興についても「いずれ外部からの支援は帰ってしまう。継続した復興のためには、地元の人間が頑張らなければならない」と言う。ゆるるが地元のNPOを紹介しているのも、地域が抱える問題を解決するためだ。

 

 しかし、誰かを助けたという思いやパワーがあっても、資金の調達や経営のスキルが不十分で、うまく活躍できない団体もある。ゆるるのサポートがそこで必要になる。



 いつまでも外部の人には頼れない。地元の人間が立ち上がり、自分たちの問題を解決していく未来を、大久保さんは見据えている。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。