継続は復興なり  広島大・徳田博明

 「高齢化や過疎化は、被災地だけの問題ではないんですよね」と特定非営利活動法人杜の伝言板ゆるる代表理事大久保朝江さん(65)は話す。「ゆるる」の主な活動は、情報誌「杜の伝言板ゆるる」の発行と、地元のNPOをサポートする宮城県で一番古いNPO法人だ。





「杜の伝言板ゆるる」を持つ大久保朝江さん=仙台市宮城野区のみやぎNPOプラザ



 震災が起こった時もゆるるは、休まず発行した。震災当初から地元団体を最優先に支えるため、様々な予想を懸念して活動に当たる。震災時、他県から大きなNGOが被災地に乗り込んで活発に活動していたので、地元団体も被災地で活動している事をゆるるに掲載した。そうすることで批判をおさえたのだ。



 そして、被災していないNPOが普段通り活動している様も紹介していた。他県から応援に来た団体から「この震災時に冷静ですね」と評価も受けたそう。



 震災発生時から、地元NPOをこだわりぬいて紹介してきた「ゆるる」。震災から2年半経った今も、震災で立ち上がった地元NPOを前面にサポートしている。助成金をもらうために行わなければならないことを教えたり、相談にのって解決していくこともある。地元住人が立ち上げたものでないと、存続していかない。地域の中で溶け込むことができないのだ。「地元以外の人達って、いつかは帰っていきます」と代表の大久保さんは言う。



 震災で、過疎化や高齢化が浮き彫りに出ている沿岸部の被災地域。この問題は、震災前からあった問題にも関わらず、今まで浮き出てくることは無かった。いつかは復興する被災地に、地元NPOが密接に関わる事で地域を形成していく事がこれからのNPOに求められている事だろう。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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