強く美しい女子プロレス、センダイから発信 宮城学院女子大2年 渡辺聖佳

倉庫を改装した道場の中で、今日もリングの上でトレーニングに励む選手らのかけ声が響く。


「男子プロレスにはない、華やかさと激しさが、女子プロレスにはある」。女子プロレス団体・センダイガールズプロレスリング(仙女)の代表と選手を担う里村明衣子さん(36)は、力強く語る。女子同士の人間関係の衝突は、口喧嘩止まり。だが女子プロレスは、その延長線上を、リングの上で見せてくれる。


仙女の選手は里村さんを含めて5人。選手歴20年の里村さんは、プロレスの技だけでなく、あいさつや返事といった、人としての礼儀作法をすべて徹底して教え込む。「入門前は普通の女の子だったが、トレーニングを重ねて、プロになる。その過程を見守れるのが嬉しい」。里村さんにとって、若手選手の成長は無上の喜びだ。


2011年の東日本大震災後は、選手やスタッフが相次ぎ仙女を去り、経営危機に直面した。試合を組める目途が立たない中、里村さんと残った選手らは、団体の立て直しに奔走した。


 被災地での復興支援試合など、徐々に活動を再開し、震災から7カ月後の10月には、後楽園ホールで試合を行った。現在は仙台でほぼ毎月試合を開催し、東京や大阪などでも主催試合を行っている。


 全国を飛び回る仙女だが、団体名に込められた、「センダイ」における活動も欠かさない。2013年4月には、市民向けトレーニング教室「仙女サークル」を開始した。毎週一回道場を開放し、選手の指導のもと、小学生から社会人まで、幅広い年齢層の参加者が、楽しみながら汗を流す。


 仙女は、今年中にアメリカへ進出予定。さらに、世界進出も視野に入れている。女子プロレスを受け入れてくれる国は、世界のどこかにきっとあるはずだ。いつか外国で、女子プロブームを巻き起こしたい。そして、世界中に仙女の名を轟かせたい。


 「女子プロレスといったら、仙台」。いつか全国の人たちにそう言われる日を夢見て、仙女は今日も、リングに立つ。



▲ 明るい笑顔でガッツポーズを決める、里村さん(写真中央)と若手選手ら。


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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