石を通じて笑顔をつくりたい 弘前大3年 大庭菜摘

 炎天下、長袖のシャツを腕まくりしながら話す男性は、一目見ただけで、石の種類を言い当てた。「この石は墓石にも記念碑にも使われるんですよ」。仙台市泉区朴沢にある石材販売店「杜の石屋ストーリー イン ストーン」の佐藤真也社長(41)だ。夏でも半袖シャツは着ない。「だって、腕まくりしている方が、頑張っているように見えるでしょ」。ざっくばらんな性格は、いい意味で社長らしくない。


 2005年1月、29歳で会社を立ち上げた。石材業の基礎は、採石会社を営む父のもとで4年間働いて身に付けた。


 「私たちはここから石を通じてお客様の笑顔づくりを始める」。店先にある石碑には佐藤さんの創業時の決意が刻まれている。「幸せとは、1日のうちどれだけの時間を笑顔でいられたかということ。だから、石を通じてお客さんを笑顔にしたい」。佐藤さんは自らの思いを確かめるように言った。


 墓石の設計を中心に、表札や灯籠、石に写真を転写したものなど、さまざまな注文を請け負っている。店内には国内外100種類以上の石のサンプルが並ぶ。宮城産から南アフリカ産まで豊富に取り揃える。


 墓石は後世に受け継がれる。だからこそ、顧客には後悔してほしくない。相手の満足のためなら、自分たちが選ばれなくてもいい。他店との相見積もりも勧め、吟味したうえで選んでくれた顧客には全力で向き合う。


 設計士の安食直樹さん(37)は「石屋は家族経営で伝統が重視されているところが多いけど、うちの社長は違う。効率を重視していて、言うことが理論的ですね」と、社長への印象を感心した様子で話した。


 「笑顔は言い換えると価値。お客さんが笑ってくれることが、納得のいくものを提供できたという証です」。話す口調は明るいが、目には強い信念が宿っている。トレードマークの腕まくりをして、佐藤さんは今日も人々のために頑張っている。


 



↑石碑に刻んだ決意文について話す佐藤さん


 


 


 


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

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