岩見組 地域と歩む建設会社 東北大2年工藤さやか

常磐自動車道山元インターチェンジ近く。建設会社「岩見組」は1972年の創業以来、地元宮城県山元町の建設工事を担ってきた。

 現在は東日本大震災以降増えた公共事業が全体の7、8割を占め、新市街地の工事などを請け負う。

 一方で地域住民の依頼に応えることも大切な仕事だ。相談に丁寧に向き合い、解決への道筋をつける。自社で解決できない場合は他社とも連携し、最後までサポートしている。

 東日本大震災で町は津波に襲われた。翌日から道路のがれき撤去や家屋の解体作業に従事した。厳しかった経営が一転し、仕事が次々と舞い込んだが、「忙しくなっていいね」との言葉を素直に受け入れることはできなかった。「仮設住宅での生活など、つらい思いをしている人がいる」。岩見圭記社長(51)は、葛藤の中で「町の姿を元に戻すだけではなく、人々の気持ちを元気にしなければと思った」と当時を振り返る。

 地域への思いを形にしたのが2015年。高齢者が転んでも骨折などけがの心配の少ない、柔らかな外構用の「里山マット」を開発した。

 震災以降増えた公共事業は今後確実に減少していく。岩見社長は「地域の人々の困りごとを探し、問題を解決するための仕事を見つけていく」と解決策を語る。

 岩見社長は「最も大事な役割は雇用の維持。働きがいのある職場を目指す」と語る。社員は日々優しい気持ちで仕事に向きあっている。お客さんの感謝の言葉が働く原動力になるからだ。

 地元の職場として選ばれる会社でありたい。岩見組はこれからも地域とともに歩んでいく。



安全に配慮した「里山マット」。さらなる改良を目指す岩見社長

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。