Lamp of Hope(仙台市青葉区) 灯火に願いを込めて 上智大2年 石田結愛

 寒空の下、数百本のキャンドルが揺らめく。花びらを閉じ込めたもの、空模様、香り付き…。前を通る人々の目に灯火が映る。2011年の東日本大震災以降、3月11日に「3.11希望のひかり〜追悼キャンドルナイト〜」を開催している。主催者のキャンドルショップ「Lamp of Hope(ランプオブホープ)」のオーナー相原真也さん(45)は「震災を年1回でも考えるきっかけになってほしい」と語る。

 震災時に被害の大きかった地域に駆けつけられなかったことが心に残った。何か自分にできることはないか−。停電時に被災者を灯し、安らぎとして不安な人々を支えたキャンドルに着目。相原さん自身も、震災時にキャンドルの灯火に救われた。震災以前は雑貨のイメージが強かったキャンドルを、震災を経て「灯すもの」と再認識するようになった。

 「暗闇の中で、灯火が誰かの希望になれば」という願いから、「希望のひかりプロジェクト」を立ち上げ、震災の1年後に、津波被害の大きかった塩釜市でキャンドルナイトの開催を始めた。同年9月には仙台市北山にキャンドルの制作・販売を行う専門店をオープン。震災から時間が経つにつれ、仙台市内中心部の防災意識が希薄になっていると感じ、翌13年は青葉区本町で、14年以降は青葉区中央のオフィスビルの前でキャンドルナイトを開き、今を問い直すメッセージを発信し続けている。会場ではキャンドル作りワークショップも開催し、その場で作ったキャンドルを灯すこともできる。

 19年のイベントでは、同じ被災地として北海道胆振東部地震へのメッセージを送る取り組みもした。「被災地だけではなく繋がりが広がれば」と願う。

 亡き人を偲ぶ、炎の揺らめきに癒しを求める、お気に入りのアングルを写真に収める…。灯火を人の輪が包む。「どんな思いで集まってくれたにせよ、『追悼』と『防災』に向き合ってもらえればいい」。灯火のように優しく微笑む。

大小様々なキャンドルを灯す相原さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。