タンヨ玩具店(塩釜市)  カードゲームで交流を 東北学院大2年 河原颯

 専用のカードを駆使して、2人で対戦する「トレーディングカードゲーム(TCG)」は長く脚光を浴びている。「タンヨ玩具店」は「マジック:ザ・ギャザリング」などのTCGを11種類扱う。「お客さんもTCGを使った交流を求めて来てくれる、今後も続けていきたい。」と店主の丹野秀彦さん(45)は将来を見据える。他の玩具も陳列されるが、TCGでのつながりが売りだ。

 大会は1999年に秀彦さんの両親の代で初めて開催した。「店の軒先で子ども達が対戦を通してきょうだいのようになっていく様子に感動した。」と母、敬子さん(70)。毎週末、年代問わず30人以上が集まる。会場は主に男性客の歓声や熱気で立ち込める。店では独自のルールがあり、のびのび対戦できる事がカードショップ店での大会との違いだ。大会初参加の男性客も「雰囲気がホっとする。また参加したい。」と顔を綻ばせる。コミュニティが広がるのも、この店の魅力。常連客は初心者に優しく教えたりもする。「お客さんには、本当にいつも感謝しています」と秀彦さんは目を細める。

 2011年の東日本大震災により、創設60年以上の店舗も深刻な状況に陥った。震災直後、市外の大会常連客が津波によるヘドロ除去などを手伝いに来てくれた。そのおかげで、震災から約1か月後、旧店舗の隣で店頭販売での営業を再開した。

 震災を機に、秀彦さんが店を継いだ。「お客さんに愛され続ける店を守ってほしい。」と敬子さんは願う。

 TCGの大会などに来ていた客が「有名玩具メーカーに就職しました」と報告しに来てくれる。客一人一人に寄り添い、「人生の付き合い」ができる個人玩具店のタンヨならではの魅力である。近年の外国人観光客の増加にも「台湾人が来て会話ができなかった。他言語も勉強して海外のお客さんも獲得できるように」と秀彦さんは努力を重ねる。

 国を問わず、玩具を通じて交流を楽しんでもらいたい。今日も「カードでつながる玩具店」として在り続ける。


対戦中に交流しあうお客さんたち(写真左下 丹野秀彦さん)

河北新報社 記者と駆けるインターン

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