【B班原稿】和がき(東松島市)甘みの強いカキ 全国へ

上智大3年  松本拓

早稲田大3年 吉永朱里

日本大2年  三井桃子

東北大2年  中里早希


 宮城県内有数のカキ産地・東松島市東名にある水産卸「和がき」は、地元産だけでなく石巻、女川など県内10産地のカキを仕入れて全国に販売する。新たなカキの販売手法に挑む代表の阿部年巳さん(41)は「カキは海域で旬の時期や味などが異なる。複数の産地のカキを扱えば、その時に一番質のいいカキを出荷できる」と誇らしげに笑う。

 カキの販売は通常、漁業者が県漁協の共同販売に出荷したものを仲買人が買い、量販店や小売店に卸す。大量に出回れば値崩れし、量販店に買いたたかれることも。漁業者には収入が生産の苦労に見合わないことが悩みだった。

 和がきは仲買人を介さないため漁業者から比較的高値でカキを仕入れ、飲食店などに良質のカキを手頃な価格で売れる。漁業者、販売店双方に「ウィン・ウィン」な手法は「船酔いするし泳げない陸(おか)の漁師」を自称する阿部さんの発想だ。

 斬新なアイデアは東日本大震災前、漁業に抱いていた疑問がきっかけだ。東松島出身の阿部さんは家業を継ぎカキ漁師になったが、父や経験豊富な漁師は販売には無頓着。「いいカキをつくっていればいい」という長年の慣習が旧来的に映った。

 そんな時に震災が起きた。父を失い、家も船も流された。現実は過酷だったが、「何もかもなくしたからこそ、ゼロから始めよう」と思えた。半年後、仲間たちと和がきを起業した。

 当初は借金だらけ。それでも「その時期に一番いい宮城のカキを届けたい」と漁師や販売店に営業に回った。狙いは徐々に実を結び、「また食べたい」と言ってくれる人が増えた。気付くと取引先は全国数百店を超えた。

 同社の販売促進やイベント企画を担うのは、腕利き営業マンから転身し、個人で飲食店を営む平野真樹さん(42)。阿部さんとは旧来の友人で「被災地だからではなく、いいカキだから買ってほしい」と、営業ノウハウを武器に、和がきをさらに前進させる強力なパートナーになっている。

 甘みが強く、ぷりっとした身の県産カキを全国へ。和がきの挑戦は続く。


「そろそろ旬だね」と話す阿部さん(左)と平野さん


河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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