ヘルシーハット(仙台市宮城野区)過敏症への理解 訴える 上智大学 3年 木村紗綾

 「匂いのない、この洗剤を使ってみたら」。体調不良の原因が化学物質だと気付く人は少ない。仙台市宮城野区のアレルギー対応製品販売店「ヘルシーハット」では、店を訪れた化学物質過敏症(CS)のお客さんに、店主の三田久美さん(63)が丁寧にアドバイスする。

 1984年に創業してから、さまざまなアレルギーに悩む人々に対して支援の手を差し伸べてきた。店内には食品や日用品など、約2500点が所狭しと並ぶ。そのなかにはCS患者の使える石鹸や洗剤もわずかにあるが、病気の認知度は低く、まだまだ商品開発が行き届いていないという。

 化学物質過敏症(CS)は、ごくわずかな化学物質に触れるだけで頭痛やめまい、脱力感に襲われる病気だ。国内の患者数は70万人とも100万人とも言われているが、病気の発症に気付かない人も多い。重症化すると病気の完治は難しくなり、日常生活を送ることすらもままならなくなる。

 ヘルシーハットでCSへの支援を強化したきっかけは、他ならぬ三田さんのCS発症だった。店舗で働く従業員は全員、患者が店内で安心して過ごせるように化学物質が含まれないシャンプーで洗髪し、無添加の洗剤で洗った衣服を着るようになった。「病気のことを理解し、協力してくれる周囲の存在が一番大切」。三田さんは強く訴える。

 2011年の東日本大震災のとき、同店の従業員たちで被災地にアレルギー対応の支援物資を届けた。人がすし詰め状態になった避難所は、段ボールや合成洗剤の匂いで満ちていた。「これではCSの患者が近づくことすらできない」。病気の社会的認知の低さを改めて痛感した三田さんは、患者の実体験を冊子にまとめたり、全国各地で講演をしたりして、病気の周知に努めてきた。

 「勧められた商品を使って楽になった」と喜び、店を再び訪れてくれる人もいる。自身の経験を踏まえて相談に乗り、一人一人と真摯に向き合うことで「自立のための支援をしていきたい」。ヘルシーハットは社会に埋もれる小さな声を掬い上げて、今日も手を差し伸べる。



化学物質過敏症の患者が使える商品を紹介する三田さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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