OFFICE HIRANO(仙台市青葉区)営業で人をつなげたい 日本大2年 三井桃子

 「東日本大震災の被災地や被災者だからではない。信頼できる人が作る質の高い商品だからこそ買ってほしい」。食品卸「OFFICE HIRANO」代表の平野真樹(まさき)さん(42)は力を込める。

 2012年に設立したOFFICE HIRANOのモットーは、食をきっかけに生産者や被災地を知り、ファンになってもらうことだ。東松島市で生産された野菜やカキ、全国から取り寄せている酒を取り扱い、販売や農業体験、カキ棚見学ツアーを行っている。

 今力を入れているのが、東松島市東名にあるカキの水産卸「和がき」の販売促進だ。和がきは漁師から仕入れたカキを直接飲食店に販売する。平野さんは和がきの事業パートナーとして、仙台市内の飲食店にカキをPRしたり商店街のイベントに出店したりして和がきのカキの良さをアピールしている。

 かつては製薬会社のトップセールスマンだった。10年に和がき代表で漁師の阿部年巳さん(41)と出会う。阿部さんの親しみやすい人柄やお互いに共通点が多いことからすぐに意気投合。阿部さんを通じて「意識せずに食べていた食材が、実は苦労して作られていた」と気づき、カキをはじめとする食に興味を持った。

 11年の震災後、炊き出しのボランティアとして沿岸部を訪れ、被災者をはじめとする多くの出会いに動かされた。被災してもめげずに避難所運営に取り組む女性、県外から毎月のように支援に通う男性もいた。「薬の営業は他の人にもできる、自分が出会ったかけがえのない人と関われるのは自分しかいない。人がつながる場を作りたい」。13年、製薬会社を退社し、OFFICE HIRANOの活動に本腰を入れる。思い切った転身だったが、「営業の仕事には自信があった」と当時を振り返る。

 和がきの販売事業を担う平野さん。阿部さんの人柄に加え、複数の産地からその時期に一番良いカキを漁師の目で見抜き出荷する手法に共感したからだ。取引先の飲食店数は年々伸びている。「謙虚に聞く姿勢が大事。信頼できる人にしか売らない」という元トップセールスマンのノウハウを生かし和がきを推進させる。

 「頑張っている人を応援したい」。その思いは人と人をつなぎ、新たな価値を生み続ける。

朝届いたカキの新鮮さを確かめ合う平野さん(右)と阿部さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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