今庄青果(仙台市青葉区) 地元野菜が命つないだ 埼玉大3年 木村みなみ


 「まいど! 今日は仙台雪菜がお勧めだよ~」。語尾に力のある威勢の良いかけ声に、買い物客の顔がほころんだ。

 仙台市青葉区中央、JR仙台駅前の仙台朝市で創業61年を迎えた「今庄青果」。宮城県産を中心に300種類近い野菜や果物がひしめき合う店内は、新鮮さゆえに、独特の青臭さも漂っていた。

 創業者の父と店を仕切る専務の庄子泰浩さん(57)は地元産、特に曲がりネギや仙台白菜などの伝統野菜を大切にする。店頭で勧めるばかりでなく、市民向けに伝統野菜の講演会を開いたり、子どもたちと地元野菜を使った料理を考案するイベントを仕掛けたり、地元産の良さを知ってもらう活動に熱心に取り組む。

 「その原点は中学時代」と庄子さんは明かす。通学途中、近所の農家の女性にもらたトマトで世界が変わった。採れたてではあったが、それ以上においしく感じた。「傷つきやすい野菜だからね、市場に出せないの。だから、おいしい」。女性の言葉が心に引っ掛かった。

 スーパーに並ぶ野菜はどれも形が良く、傷もなくきれいだ。品種改良され、日持ちもする。だが、あのトマトのようなうまさはない。庄子さんは「不格好でも、おいしい野菜を届けたい」と思うようになり、やがて後を継ぐことを決意した。

 今庄青果は地元農家からの直接仕入れを重視する。市場には出回らない「実はおいしい野菜」を店頭に並べるためだが、その姿勢が強みを発揮したのが東日本大震災。生鮮食品の流通がまひし、シャッターを下ろすスーパーや飲食店が相次ぐ中、地元農家のネットワークを駆使して野菜をかき集め、路地売りながら1日も休まず店を開け続けた。「地産地消が根付いていたからこそ乗り切れた」。

 震災発生から7年がたち、庄子さんは「食を通じて地域に結び付きをつくりたい」との思いを強くする。住民同士がつながる場を提供しようと、みそ造りのイベントを開くなどしている。「八百屋の『八百』には『数え切れないもの』という意味がある。野菜を売ること以外でも地域に貢献したい」と力を込めた。



▽店頭で仙台伝統野菜「仙台雪菜」を手に客と談笑する庄子さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

0コメント

  • 1000 / 1000