【B班原稿】今庄青果(仙台市青葉区)/共助の心 野菜に込めて

埼玉大3年     木村みなみ

仙台大3年     佐藤真一朗

東北福祉大3年   菅野綾香

明治大2年     稲本康平

 「いらっしゃい。いいセリが入ったよ」。よく通る声が買い物客を引きつける。青々としたホウレンソウや雪菜、まだ泥が付いている大根、旬を迎えたミカンが店先に陣取る。仙台市青葉区中央、JR仙台駅前にある70年の歴史を刻む仙台朝市で、1957年創業の「今庄青果」は自慢の地元野菜を豊富にそろえる。

 「地元の農家を応援したい」と専務の庄子泰浩さん(57)は力を込める。仕入れは若林区の市中央卸売市場が中心だが、気に入った野菜はなじみの農家から直接取り寄せる。求めるのは、まずは仙台産、次に宮城県産、そして東北産。「作り手の顔が見えて安心感がある。何よりも新鮮でおいしい」。地元産を大切にする姿勢は客からの信頼を集める。

 あの日、東日本大震災の強い揺れは、今庄青果も容赦なく襲った。野菜や果物が店内に散乱し、売り物が無残な姿をさらした。営業できる状態ではなかったが、父で社長の泰雄さん(81)に迷いはなかった。「みんなが食べ物を求めている。店を開けなくてどうする」。今こそ地域を支える時だと、下ろしたシャッターの前で翌日も野菜を売り続けた。

 震災直後は流通網が寸断され、仕入れは簡単ではなかった。支えになったのは長年培った地域とのつながり。近くの農家は収穫した野菜を抱え、朝市まで届けてくれた。店の前に並んだ客は順番を待ちながら商品の袋詰めを手伝ってくれた。野菜を運ぶトラックを動かすため、10時間もガソリンスタンドに並んでくれた学生もいた。「多くの人に助けられた」と泰浩さん。地域に支えられた商売をかみしめた1カ月だった。

 震災から7年。庄子さんは福島県浪江町に野菜を届けるすべを思案する。東京電力福島第1原発事故で住民約2万人が避難を余儀なくされ、昨年3月に避難指示が解除されたばかりの被災地。生鮮食品を扱う専門店が再開しておらず、野菜の供給を頼まれた。仙台から100キロ近く離れ、運搬費もばかにならないが、泰浩さんには断る理由が見つからない。

 「今度は自分が支える番だから」


店先でお客に旬のセリを薦める庄子さん。季節や産地を大切にする

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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