今庄青果(仙台市青葉区) 命も世代も食でつなぐ 東北福祉大3年 菅野綾香

 仙台市青葉区中央、JR仙台駅前の仙台朝市にある「今庄青果」。創業61年の老舗を切り盛りする専務の庄子泰浩さん(57)は「食べ物は人と人をつなぐ」と確信する。

 店先には仙台白菜、縮み雪菜など地元の伝統野菜が並ぶ。「葉物はね、根の方を少し切って水につけておくと驚くほど元気になる」。レジ越しに野菜の上手な食べ方を伝授すると、すかさず常連客が勧めのレシピは何かと尋ねてくる。心通うやりとりを庄子さんは大切にする。

 店頭に立つばかりでなく、出前授業で学校に赴いたり、職業体験を受け入れたり、講習会の講師を務めたり、野菜に関わることには幅広く携わる。3月29日は仙台朝市で「親子みそ造り体験教室」も開いた。汚い手でみそを触るとどうなるか、実際にカビが生えたみそを見せ、子どもたちに手洗いの重要性を伝えた。

 食べ物は人と人をつなぐー。東日本大震災でそれを痛感した。地震の強い揺れで、店内はめちゃくちゃになったが、片付けは後に回し、翌日も営業を続けた。シャッターは下ろしたまま、店の前に在庫の野菜を一列に並べ、「必要な分だけ取って。店は明日も開けるからね」と力いっぱい叫んだ。

 流通網が途絶え、届くはずの野菜が届かなかった。庄子さんは命をつなぐ食材を求め、ひたすらトラックを走らせた。「今庄青果が野菜を欲しがっている」との情報が広がり、被災地に入れず、行き場を無くしていた野菜が次第に届くようになった。結局、人に助けられた。

    災禍から7年がたち、庄子さんは「食べ物で三世代をつなげないか」と考え始めている。核家族化が進み、家庭で三世代が交わる機会は少なくなたったが、「おばあちゃんが作ったおせち料理を子や孫たちが囲む」ような光景を未来に残したいと願う。昔ながらのレシピ、生活の知恵の伝承に一役買うことも目指す。心と心を結ぶ食べ物の力を信じ、庄子さんは今日もまた買い物客と向き合う。




今の時期美味しい野菜を聞かれ、ちぢみゆきなの説明をする庄子さん

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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