今庄青果(仙台市青葉区)『地域に根ざした八百屋』明治大2年 稲本康平

八百屋の“八百”には数えきれないもの、という意味がある。仙台駅西口から徒歩5分、仙台朝市の一角に店を構える「今庄青果」。「まずは仙台、無理なら宮城」と地元産の野菜が中心に店先に並ぶ。専務・庄司泰浩さん(57)は「ただの野菜売りじゃない八百屋」と言葉に力をこめる。

「今では遠くの産地の物も手に入るけど、まず生活の基本は地域。70年の歴史を刻む仙台朝市には伝統と知恵がある。ここでなら。」と、野菜を売る以外に地域の基盤を大切にする。非常時の備えで店内に設置する自動販売機。都市ガスが止まった時のためのプロパンガス。焼き芋を焼いているドラム缶の下にあるバーナー。災害の備えの他にも、年一度の親子で参加できる味噌づくりの食育活動。朝市センター保育園の認可署名活動。大学での講義活動。味噌づくりでは、カビている味噌を見せることで、子供たちに手を洗う大切さをしっかり分かってもらえるのが嬉しいと言う。販売以外にも業務は多岐にわたる。

東日本大震災の脅威は今庄青果も襲った。店内は無残な状態だったが、翌日店を開けた。多くの人にいつも通り野菜を届けて安心を与えた。実際に、焼き芋を作っているバーナーとプロパンガスは炊き出しに使えて役に立った。

「野菜売りでなく、八百屋でありたい」という想いはその時に実を結んだ。多くのコンビニやスーパーがお店を閉める中、物流が混乱していても今庄青果は野菜をいつも通り売り続けられた。そこには、単に野菜を売ってもうけるだけではなく八百屋として地域で培った基盤が存在した。

それから六年後の2017年、福島県浪江町から、「野菜を売ってほしい」との依頼があった。東京電力福島第1原発事故で出されていた避難指示が、2017年3月に解除されて少しずつ住民が戻るも、多くの人は食べ物を手に入れるために、以前とは違い、わざわざ数十分かけて車を走らせている。

「儲けは少なくてもいい。食べ物に困っている人がいる。人の役に。」その想いを持って食から始められる復興の第一歩を八百屋として考え始めている。

やることは多いと深夜1時。

翌日の仕入れは4時起きで向かう。

河北新報社 記者と駆けるインターン

2012年夏にスタートした、大学生向けの記者体験プログラム。 東日本大震災の被災地で、人に会って話を聞き、大事なポイントを見つけ、限られた字数で記事にする―。 そうした体験は、ジャーナリスト志望者のみならず、どんな職種職業にもつながる「生きる力」を養います。 このブログでは、学生の活動成果である記事と、活動中の日々の様子などを随時発信していきます。 募集告知もこちらで行います。

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