食べることで支援   東北学院大・渡辺裕也

「いらっしゃいませ」。ドアを開けるとお客さんを迎える明るい声が響く。お昼時に訪ねたのは、仙台市宮城野区の宮城NPOプラザ内にあるカフェ&アートレストラン「オリーブの風」。



店内は、白を基調に暖色でまとめられた温かみのある雰囲気にまとめられている。働いている人々の表情は生き生きとしていて、料理はご飯を玄米にするなど健康面も考えられており、とてもおいしい。どこの町にでもある普通のご飯のおいしいレストランに見える。







配膳を行うチャレンジドの店員=仙台市宮城野区榴ヶ丘、「カフェオリーブの風」

 



「オリーブの風」の従業員10名ほどは、NPO法人シャロームで就業支援を受けている精神障がい者たちである。シャロームでは障がい者を神様から挑戦すべきことを与えられた人という意味の「チャレンジド」と呼び、就労支援を行っている。



2000年に就労支援を始め、少しずつその事業を拡大してきた。2006年に仙台市若林区新寺のカフェ&アートレストラン「太陽とオリーブ」を開店したのを皮切りに、先ほど紹介した「オリーブの風」の開店が2011年に予定されていた。



オープン直前に東日本大震災が発生し、開店が1ヶ月延期された。チャレンジドと職員が力を合わせて炊き出しを1ヶ月ほど行い、5月に店舗を開店した。



シャロームでは現在カフェを3店舗経営している。その中の一つ、「カフェ・オリーブ・ガーデン」でスタッフをしている小野寺健(おのでらたける)さん(30)は「障がいを理由に特別扱いしない。



チャレンジドの中には、特定の分野の仕事についてはスタッフよりも効率的にやる人もいる。そういった点は自分も参考にして学んでいきたい」と話していた。この言葉には、シャロームの障がい者と共生していく姿勢が表れている。



「お店に食べに来てチャレンジドについて知ってほしい」とシャローム理事の菊池茂(きくちしげる)さん(57)は言う。お店に来てもてもらい、障がい者の雇用について考えてもらう機会になればと菊池さんは考えている。



NPOの活動に参加することは、ハードルが高いかもしれない。しかし、レストランに食べに行くことは簡単にできる。まずは気軽にお店に足を運んでみるのはどうだろうか。


--------

河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。