非行少年への理解の輪を広げる 法政大4年 平山連

 


仙台駅徒歩5分、Date fmのほぼ真向かいにある雑居ビル5階。


アネスティ法律事務所内にNPO法人ロージーベル事務局がある。


 


「第一印象は悪かった」


苦笑いを浮かべながら、出会いを振り返る。


弁護士として少年事件に携わった勝田亮(まこと)さん(45)は、家庭環境に問題を抱え、引き取り手がいない少年たちを知った。


 


「居場所を作りたい」


胸に秘めた思いを実現させたのは、大沼えり子さん(57)との出会いだった。


 


勝田さんが担当していた少年が、大沼さんの住居に侵入し、窃盗を犯した。


すぐさま謝罪の電話を入れると「弁護士に何ができる」と説教交じりの言葉が返ってきた。


「無礼だと思いましたが、少年に対する想いが伝わってきた」と大沼さん。


 


2008年、非行を犯した少年の社会的自立を支援する同団体を設立。


理事長を大沼さん、副理事長を勝田さんが務める。


 


受け入れる少年たちには、特徴がある。


親からの愛情を知らないのだ。


「家族を知らなければ家族は作れない」


大沼さんは強い調子で語る。


 


 



 


 


2011年、「笑いが絶えない家族のような家」を目指し、少年の家(ロージーハウス)を設立した。


大沼さんと寮母が常勤しているほか、少年たちの相談に乗るボランティアが交代で関わる。


規則正しい生活を送ることが第一段階。


仕事をして自立するまでが第二段階。


現在、少年2名が共同生活をしている。


 


東日本大震災後、少年たちを取り巻く環境が変化した。


復興支援のためボランティアで訪れた住民が家賃を滞納し、行方を消すケースが増えた。


住居を借りる際、家族に限った保証人を求められる。


家探しを始める少年の保証人を申し出た大沼さんは、貸家主から受け入れられないと拒否された。


「家族に依頼できないから、私を頼ったのに」理解が得られない現実に嘆く。


 


一方、震災を境に少年達が「役に立っているんだ」と実感する機会が多くなった。


がれき撤去をした少年たちが、誇らしげに仕事成果を報告する。


「オレって生きていていいんだ」


必要とされる体験が、「居場所」を発見した瞬間だった。


 


地域住民からは、「非行少年は危険だから」と反発を受けることもある。


一軒一軒説明に回ると、次第に理解が広がった。


小さなコミュニティーから社会全体への理解を進めたい。


非行少年たちの支援の輪を広げるため、2人の挑戦は続く。


 


 


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河北新報社 記者と駆けるインターン

このブログは、2012年夏から2019年春まで通算19回行われた、大学生向けの記者体験プログラム「記者と駆けるインターン」の活動報告です。 2019年夏からは内容や期間が異なりますので、ご了承ください。 詳細は最新の記事をご覧ください。